TMD(宝田無線電機)、2023年6月5日特別清算開始-「でじこビル」看板でも有名、消費税不正還付で倒産・解散へ

東京都千代田区のJR秋葉原駅前にあった電気店・免税店「宝田無線電機TAKARADA、現社名:TMD)」が、2023年6月5日に東京地裁より特別清算開始命令を受けた。

宝田無線ビルとその周辺。

宝田無線、ゲーマーズのでじこ看板でも有名だった

宝田無線電機は1950年に創業。秋葉原駅電気街口の宝田ビルは1973年に建設されたもので、半世紀に亘って秋葉原の顔の1つとなっていた。
大型テナントとして2002年より「ゲーマーズ」が出店しており、ビル屋上には「デ・ジ・キャラット」のキャラクターでゲーマーズのマスコットでもあった「でじこ」の「WELCOME TO AKIHABARA」看板を設置。「でじこビル」とも呼ばれて秋葉原のシンボル看板の1つとして親しまれたが、2015年に宝田無線の看板に変えられている。

「でじこ」看板があった当時の宝田無線ビルとその周辺。

宝田無線は秋葉原に来る外国人観光客をターゲットとした免税店「TAKARADA」として経営規模を拡大。2002年にビル増築、2007年にはロケット1号店跡を取得するなどしていたが、そうしたなか外国人従業員の不当な扱いによる労働争議も発生していた。

売上1000億円→消費税不正還付で倒産

倒産・会社清算を報道した帝国データバンクによると、倒産は消費税不正還付による信用低下のため。
2017年5月期の年収入高は約1092億7400万円に達していたが、2017年に東京国税局が訪日外国人向けの免税制度を悪用した約70億円の消費税不正還付を指摘。販売したはずの商品の多くが海外に持ち出されていないこと、都内の取引先との間で仕入れと買い戻しを繰り返す循環取引を行い、外国人に販売した実績はないことなどが認定され、悪質であるとして約100億円の追徴課税を受けたという。
この信用低下によって、2017年末に店舗を閉鎖、2019年末には家電製品卸から撤退。近年は不動産賃貸および通販サイト向けのスポット販売などを手がけていたが、2021年5月期の年収入高は約3億5900万円に下落、2023年2月27日株主総会の決議により解散を決定した。負債総額は2020年5月期末時点で約73億9100万円。清算にあたり、社名をTMDへと変更している。
なお、所有不動産は売却されており、また、宝田無線の直営免税店売場の跡には、2018年にマツモトキヨシが出店している。(追記:マツキヨも既に閉店、カードショップになる予定)

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