井筒屋、宇部井筒屋跡を宇部商工会議所に売却へ-ゆめタウン宇部には井筒屋小型店、2019年3月20日開店

北部九州・山口地盤の地方百貨店「井筒屋」(北九州市小倉北区)と「宇部商工会議所」(山口県宇部市)は、「宇部井筒屋」(山口井筒屋宇部店)店舗跡の土地・建物を宇部商工会議所に売却することを2019年2月19日に発表した。
その一方で、井筒屋はゆめタウン宇部に「井筒屋宇部ショップ」を2019年3月20日に開業させている。

宇部井筒屋。

旧店舗を商議所に売却

宇部井筒屋(山口井筒屋宇部店)は1933年に開業。建物は地上4階地下1階建、売場面積は7,683㎡、山口井筒屋が自社物件として保有する。年商は約28億円(2018年2月期)であった。
開業当初は山口地盤の百貨店「ちまきや」傘下の店舗であったが、1969年10月に井筒屋が資本参加して以降、井筒屋色を段階的に強め、1972年には現在の屋号、1977年には現在の建物で運営が行われるようになった。
同店は面積が狭く、無料駐車場もあるため近年も黒字を計上する年があるなど、地方都市にしては比較的好調であったが、井筒屋本体の経営経営悪化と老朽化のため、2018年12月31日をもって閉店していた。
宇部井筒屋跡では、2019年1月5日から3月中旬まで1階東玄関に「お問い合せカウンター」を設ける暫定利用が行われているが、3月下旬以降の跡地利用方針は未定であった。

井筒屋宇部ショップ、ゆめタウン1階に開店

井筒屋は同店に代わる新たな拠点として、ゆめタウン宇部1階に「山口井筒屋宇部ショップ」を3月20日に開店させる。同店の売場面積は444㎡で、取扱品目は食品(銘菓は「いのくま」「御堀堂」「山陰堂」など)、化粧品、婦人服、ファッション雑貨など。地元紙・宇部日報によると店員数は38人で、外商店員も擁する。
3月20日から24日までは記念イベントとして「伊万里真珠フェア」「お楽しみ袋販売」などが開催される予定。
また、税込2,160円以上お買い上げで先着500名に紅白饅頭がプレゼントされる。

宇部井筒屋の新店舗イメージ。

井筒屋が単独店の閉店後に店舗をゆめタウンに移店させるのは中津井筒屋、大牟田井筒屋に続いて3店舗目で、いずれも約500㎡前後の売場面積となっている。なお、このほか飯塚井筒屋についてはイオンに移店している。
ゆめタウン宇部では改装に合わせて「サマンサモスモスブルー」「エムニ」などの新規テナントも導入している。

地盤沈下進む宇部市中心部、新施設は起爆剤となるか

宇部市の中心部である琴芝・新天町エリアでは、宇部井筒屋が閉店したほかにも、2009年4月に大型衣料品店「エムラ宇部店」が店舗再編の一環として呉服専門店「エムラきもの館」に業態転換、2019年2月25日には地場大手総合スーパー「宇部丸信」跡の「レッドキャベツ新天町店」(現在はイオン系)が閉店、2018年10月にファミリーレストラン「ジョイフル」も閉店するなど地盤沈下が深刻化しており、10年の間に市街地から百貨店、大型スーパー、100円ショップ、衣料スーパー、ファミレスが消滅することとなった。
レッドキャベツ新天町店。

宇部商工会議所は、宇部井筒屋跡を2021年に解体、新たな複合施設を2023年に開設することを検討しているが、大型店の相次ぐ撤退により市中心部の先行きは不透明な状況にある。
宇部井筒屋跡が、市民生活の向上に繋がる「賑わい創出の起爆剤」として有効活用されることが期待される。

追記:宇部商工会議所は3月26日に臨時議員総会で取得を否決、会頭は辞任。跡地問題は棚上げされることとなる。

井筒屋宇部ショップ

住所:山口県宇部市黒石北三丁目4-1 ゆめタウン宇部 1階
営業時間:9:00~21:00

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