イオンモール、OPAを2021年3月吸収合併-「国内最大級のファッションビル」目指すも新型コロナで事実上解体

イオングループ系の大手不動産ディベロッパー「イオンモール」(千葉市美浜区)は、完全子会社の都市型ファッションビルディベロッパー「OPA」(千葉市美浜区)の吸収合併を要とする構造改革を2020年12月1日に発表した。

三宮OPA2。

今回の構造改革により、“国内最大級の都市型ファッションビルディベロッパー”を掲げるOPAは、2021年3月を目処に事実上解体されることとなった。

ダイエー系ファッションビルとして創業したオーパ

オーパは、1988年9月に大手流通グループ「ダイエー」傘下の不動産ディベロッパーが開発する新神戸の「オリエンタルパークアベニュー」運営会社として兵庫県神戸市で創業。
創業当初より、ダイエー直営のファッションビルを引き継ぐかたちで店舗を拡大。1996年9月には同じくダイエー傘下の百貨店「十字屋」と経営統合、西日本を中心に旗艦店となる大型店舗(心斎橋・河原町など)を相次ぎ出店したが、ダイエーの経営悪化に伴う産業再生機構機構傘下入りの一環として、2006年3月にダイエー完全子会社(当時)の現法人(株式会社OPA)として再び分社化することとなった。

藤沢OPA。(旧・関東十字屋藤沢店/藤沢コスタ)

株式会社OPAとしての分社化後も、ダイエーグループの中核を担う不動産ディベロッパーとして、新規出店や他社施設(さくら野仙台京都アバンティ)の受託運営など、事業拡大を推し進めていた。
しかし、2015年1月にイオンがダイエーを完全子会社化したため、2016年3月にはイオンリテールのファッションビル部門を担う「ビブレ・フォーラス事業部」と経営統合、あわせてイオンモールの完全子会社化となった。
また、OPAとビブレ・フォーラス事業部の経営統合時点では「国内最大級の都市型ファッションビルディベロッパー」としてファッションビル国内最大手のパルコを上回る店舗数を展開していた。

経営統合以来不振続くオーパ、新型コロナで事実上解体

今回のイオンモールによる「都市型SC事業の構造改革」は、「ウィズコロナ・アフターコロナの新常態(ニューノーマル)における消費行動の変容に対応した取り組みの強化」を目的として掲げており、その一環として2021年3月1日を目処にOPA(現法人)を吸収合併する。
あわせて、OPAが運営していた国内23施設を「ターミナル立地中心の都市型施設」「コミュニティ型施設及び都市型施設の一部」としてカテゴライズし、そのうちターミナル立地中心の都市型施設8施設を新設会社(新・株式会社OPA/2021年3月1日設立予定)に分割承継する。
OPA(現法人)運営店舗のうち、イオンモール直営となる施設(心斎橋オーパ・横浜ワールドポーターズなど)は、「デイリーニーズを満たす施設への変革や、物件によっては再開発実施により、物件価値の向上に取り組む」という。
明石ビブレや名古屋mozoオーパといった施設はイオンモール運営施設の核(大型専門店街)として入居する形態を採っており、運営会社の一本化により運営の効率化・最適化もあろう。

OPA、都市型特化で再起なるか

OPAは、2016年3月のビブレ・フォーラス事業部との経営統合を機に、キーワードに「LIFE FARMING」を掲げ、従来オーパやビブレが強みとしてきたファッションビル業態を放棄。施設の建替えや大規模リニューアルにあわせて、食物販やサービス関連店舗といった“コト消費”を主体とする新業態への転換を図った。
その象徴として「大分オーパ」「那覇オーパ」では、訪日外国人観光客によるインバウンド需要や食特化によるデイリーユース需要の獲得をめざした。コト消費特化型施設への移行は、商業施設が各種ECサイトと対抗するうえで有望な選択肢であったが、従来同社が運営してきた施設と志向性が大きく異なっていたため、既存顧客の流出を引き起こすこととなった。
特に大分オーパでは2020年12月現在も下層階の半分以上が空き店舗となっている。

大分OPA。

今回の構造改革により、“肥大化”していたOPAは新会社によって再びターミナル立地中心の都市型施設の管理・運営に特化した会社となり、不振が続く新業態はイオンモール直営のもと再建が図られることとなりそうだ。

新「OPA」直営となるオーパ・ビブレ・フォーラス
(8施設)
  • 三宮オーパ(兵庫県神戸市)
  • 仙台フォーラス(宮城県仙台市)
  • 横浜ビブレ(神奈川県横浜市)
  • キャナルシティオーパ(福岡市)
  • 新百合丘オーパ(神奈川県川崎市)
  • 金沢フォーラス(石川県金沢市)
  • 三宮オーパ2(兵庫県神戸市)
  • 高崎オーパ(群馬県高崎市)
イオンモールの運営となる
オーパ・ビブレ・ワールドポーターズ(15施設)
  • 北大路ビブレ(京都市)
  • 湘南藤沢オーパ(神奈川県藤沢市)
  • 明石ビブレ(兵庫県明石市)(イオンモール明石内)
  • 河原町オーパ(京都市)
  • 聖蹟桜ヶ丘オーパ(東京都多摩市)
  • 横浜ワールドポーターズ(横浜市)(旧・ビブレ)
  • 心斎橋オーパ(大阪市)
  • 名古屋mozoオーパ(名古屋市)(mozoワンダーシティ内)
  • ビブレジーンレイクタウン(埼玉県越谷市/イオンレイクタウン内)
  • 水戸オーパ(茨城県水戸市)
  • 秋田オーパ(秋田市)
  • 那覇オーパ(沖縄県那覇市)
  • 八王子オーパ(東京都八王子市)
  • 大分オーパ(大分市)

関連記事:イオン、ビッグ・エーとアコレを2021年3月1日経営統合-2025年度に500店舗体制めざす
関連記事:イオン、都市型ショッピングセンターを「イオンそよら」に-2020年8月7日発表、由来は「そら、寄って、楽しんでって!」

このエントリーをはてなブックマークに追加