阪急阪神東宝グループの流通大手「H2Oリテイリング」は、資本業務提携関係にある飲食大手「SRSホールディングス」(旧・サトレストランシステムズ)に、H2O傘下の飲食子会社「家族亭」「サンローリー」を株式交換により2020年1月1日を目処に譲渡する方針を2019年11月8日に発表した。
家族亭浜松メイワン店。(静岡県浜松市)
イズミヤの飲食事業と家族亭・得得、和食さと傘下に
H2Oリテイリングは2007年10月に阪急阪神HD系の百貨店「阪急百貨店」「阪神百貨店」が経営統合し発足。2014年8月に大手うどん・そば専門店「家族亭」を完全子会社化して以降、阪急デリカアイが運営する稲荷寿司専門店「いなりすし 豆狸」を全国展開開始、阪急阪神レストランズから阪急電車駅構内カフェ「フレッズカフェ」を取得、2019年5月には郊外型和食レストラン「和食さと」などを運営する「SRSホールディングス」の発行済株式総数の約3%を取得する資本業務提携を締結するなど、飲食事業の強化を推し進めていた。
和食さと放出店。(大阪府城東区)
H2Oリテイリングが今回譲渡する家族亭は1947年9月に「信州そば家族亭」として創業。2019年10月末現在、H2Oリテイリングの完全子会社として、創業当初からの主力ブランドである「家族亭」や旧イオン・かっぱ寿司系の「得得」など国内外に169店舗展開する。
得得あびこ苅田店。(大阪市住吉区)
サンローリーはイズミヤの飲食事業子会社として1977年12月に設立。2019年10月末現在、H2Oリテイリングの中間持株会社「H2O食品グループ」の完全子会社として、ファミリーレストラン「いづみ亭」「茶房ひまわり」やフードコート内店舗「フードプラザ」のほか、「ミスタードーナツ」「ドトールコーヒー」のFC店舗を合わせて69店舗展開する。
茶房ひまわり枚方店。(大阪府枚方市)
今回のH2Oリテイリングによる飲食子会社譲渡は「消費者の外食ニーズの多様化や物流費や人件費の上昇といった環境変化を受け、成長スピードが鈍化している傾向」を背景としたもので、株式交換によるSRSHD傘下への飲食事業一元化により、成長の加速と企業価値の向上、資本関係やアライアンスパートナーとしての関係のさらなる強化を図ることができるとしている。
H2OとSRS、さらなる資本業務提携の進展なるか
H2OリテイリングとSRSホールディングスが2019年5月に締結した資本業務提携では、H2OによるSRSHD発行済株式総数約3%の取得に加え、H2O運営商業施設へのSRS運営店舗の新規出店、H2O傘下の外食事業運営会社とSRSによる商品の仕入調達、物流の共通化、H2Oが生産・加工を手掛ける野菜・米飯・デリカ商品などを活用した共同事業の展開を検討中であると発表していたが、今回の発表ではこれらに先駆けてH2O傘下の飲食子会社のSRSへの譲渡が打ち出された。
H2Oは依然として、100円ベーカリー大手「阪急ベーカリー&カフェ」、阪急電鉄駅構内カフェ「フレッズカフェ」、レストラン・コントラクト事業を手掛ける「ハートダイニング」を傘下に持っており、今後の両社の資本業務提携の展開次第ではさらなる事業再編も想定される。
宮本むなしも現在「和食さと」の傘下。
地下鉄東三国駅前店。(大阪市淀川区)
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