JR石巻駅前の石巻市役所1階に出店する商業施設「エスタ」のスーパーマーケット部分が2017年5月31日に閉店する。石巻市役所1階に出店するエスタ。
旧さくら野、石巻市役所1階に出店する食品スーパー
エスタは百貨店「さくら野百貨店石巻店」跡の1階部分に2008年6月開店。
建物はもともと旧「ダックシティ丸光石巻店」を移転したマイカル系百貨店「石巻ビブレ」として1996年に開店したもので、マイカルからの独立後の2002年に「さくら野百貨店石巻店」となっていたが、2008年4月に閉店。同年6月のエスタ開店から2年後の2010年3月からは建物全体が石巻市役所の新庁舎として本格利用開始され、役所内にスーパーが出店する全国的にも珍しい施設として一躍有名になった。
旧・さくら野百貨店の建物を利用した石巻市役所。
震災で売上減、契約切れ待たずに撤退へ-テナントは継続
エスタの延床面積は4,679㎡、売場面積は2,648㎡で、運営は地元企業の株式会社ステップ。
エスタの閉店を報じた地元紙・石巻日日(ひび)新聞によると、当初は売上好調であったものの、2011年3月の東日本大震災以降は売上が伸びず赤字状態が続いていたことが閉店の要因だといい、2018年5月まで結ばれていた10年間の賃貸借契約を1年残しての閉店となる。
なお、ステップが運営していたスーパーマーケット部分は閉店するものの、エスタと契約し市役所1階の商業スペースで営業している13のテナントについては市との契約に切り替えることで2018年5月まで営業を継続させるとともに、市がエスタとの契約切れを見込み2017度末に予定していた核店舗の公募も早めるという。
エスタで営業するテナントは市との契約に切り替える。
スーパー無くなる石巻駅前、再開発にかかる期待
エスタは石巻市中心部唯一の食品スーパーであったため、エスタ撤退後の中心部における食料品取扱店はコンビニや個人商店などが中心となる。
宮城県第2位の人口を持つ石巻市の中心部ではかつて駅近くの「穀町大通り商店街」や「立町大通り商店街」などの商店街が活況を呈していたが、次第に「イオンモール石巻」や「イトーヨーカドー石巻あけぼの店」など大型店が集積する郊外に客足を奪われ、中心商店街が東日本大震災で被災したことや人口減少も中心部の衰退に拍車をかけることとなった。
市内最大の大型店「イオンモール石巻」。
その一方で、震災後は「まちなか居住」をテーマに「きょう街」(立町二丁目5番地区)や「石巻テラス」(中央三丁目1番地区)など住居と店舗を複合した再開発ビルが相次いで完成。今後も中心部数ヶ所において再開発ビルの建設が予定されており、中心市街地の賑わい復活へ期待がかかっている。
1階に商業施設「石巻アサッテ」が出店する「きょう街」。
エスタには、震災後は津波で被災しエスタ内に移転出店した店舗も複数あり、新たな核テナントの出店が急がれる。
外部リンク:石巻市役所
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