JR北海道の「日高本線」(苫小牧-様似、146km)の大部分である鵡川-様似間(116km)について、JR北海道が沿線自治体の7町とバス転換を前提に協議を進めている。(10月25日更新)
日高本線(苫小牧駅、撮影:北のテッチャンさん)。
災害で2015年1月より不通に
JR日高本線は苫小牧駅から様似駅を結ぶ146kmの路線。
日高本線の沿線では過疎化が進んでおり、JR化後は臨時駅の開設やデュアルモードビークルの試験運行(鉄道に乗り入れることのできるバス、日高線では営業運転を行わず)、快速「優駿浪漫」の運行などといった活性化策が採られたこともあるものの、2015年1月より相次いだ高波被害や2016年夏の台風被害のため各地で路盤や橋梁が流出。2016年10月現在、鵡川-様似間116kmが不通となっており、長期に亘って代替バスでの運行となっている。災害前である2014年度の1日の輸送密度は、僅か298人/kmだった。
日高本線(GoogleMapを用いて作成)
地元自治体、復旧費用負担に応じず…意見の相違も
沿線自治体や北海道はJR北海道に対して早期の復旧を求めてきたが、日高本線は利用客の減少傾向が大きいうえ、復旧費用に約38億円が必要な状態となっており、JR北海道は沿線自治体に対して一部費用の負担を求めていた。
一方、北海道新聞によると被害が比較的小さい鵡川-日高門別間20kmに関しては、沿線である日高町からの復旧を求める声もあるという。同紙によれば、沿線自治体は復旧費の負担には応じない方針であるというが、苫小牧新報のように「沿線の意見は未だ完全に一致していない」という報道もあり、「早期に廃止」という訳にはいかないと思われる。
いずれにせよ、JR北海道が廃止に向けての協議に入っていることは間違いなく、今後が注視される。
鉄道代替バス(静内駅、撮影:北のテッチャンさん)。
JR北海道、今後も廃線つづくか
近年、JR北海道では毎年約300~400億円前後の赤字を出しており、北海道新幹線の新函館北斗開業に伴う2016年3月25日のダイヤ改正においても合理化のために普通列車79本を減便、8駅を廃止したほか、無人駅も大幅に増やしていた。
2016年には留萌本線の末端区間の廃止が決まったほか、JR夕張線(石勝線夕張支線)のバス転換を夕張市が容認するなど、各地で廃線・バス転換後を見据えた動きがでてきている。
廃止が決まっている留萌本線の末端部。
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