イオンそよら古川橋駅前、2023年11月1日9時開業-ダイエー時代からの強み活かした“リボーン型そよら”、賑わう開業日に

大阪府門真市の京阪本線古川橋駅前に、イオンリテールの都市型ショッピングセンター「イオンそよら古川橋駅前」が2023年11月1日午前9時に開業した。

イオンそよら古川橋駅前。

古川橋土地整理事業を機に生まれた駅前のシンボル

イオンそよら古川橋駅前の前身となる総合スーパー「ダイエー古川橋駅前店」は1984年2月に開店。建物は地上7階建(地上6階地下1階建)で営業フロアは1~3階、店舗面積は14,319㎡だった。
ダイエー古川橋駅前店は「門真市古川橋特定土地整理事業」により整備された「サンコオア第1ビル」の商業核であり、2016年3月のイオンリテールへの店舗承継後も引続き、総合スーパー「イオン古川橋駅前店」として地域の賑わいに不可欠といえる役割を担った。

一方、イオン古川橋駅前店は開店から39年が経過し、買物客の需要の変化への対応に迫られていた。こうした背景もあり、2023年4月に都市型ショッピングセンター「そよら」への転換が正式発表となり、同年夏より順次フロアの一部閉鎖をともなうリニューアルを進めていた。

フロアごとに異なるコンセプト訴求

イオンそよら古川橋駅前の建物は従来同様に地上7階建で敷地面積は約12,147㎡、売場面積は約14,967㎡、延床面積は約52,691㎡。グループの総合スーパー事業会社「イオンリテール」が管理運営を担う。
そよらの屋号は一般公募により選定された「そら、寄って、楽しんでって!」との呼びかけに由来するもので、大阪府内では2023年9月開業の東岸和田に次ぎ4施設目となる。

2023年9月開業のイオンそよら東岸和田。

そよら古川橋駅前ではキーワードに「通う」「集う」「つながる場」を掲げ、フロアごとに異なるコンセプトを訴求。日常生活で一番便利な都市生活拠点として「お子さまを連れて一番快適に過ごせる身近な施設」をめざすとしている。

直営衣食住も全面刷新、専門店ライクなスタイルに

イオンそよら古川橋駅前の核を担う直営総合スーパー「イオンスタイル古川橋駅前」は、ダイエー時代から引続き3フロア体制を採るもの、直営輸入食品・酒類や直営衣料、スポーツ関連売場を中心に既存の売場カテゴリからスピンアウトし、専門店に近いスタイルで顧客提案を行う。

イオンスタイル古川橋駅前の地場野菜コーナー。

1階食品フロアのうち農産では地場野菜売場コーナーの新設に加えて「大阪府指定なにわ伝統野菜」を新規取扱開始。水産では鮮魚の対面販売や調理サービスを実施。惣菜では「鉄板焼きコーナー」に加えて「ピッツァソリデラ」を新たに展開する。
また、直営輸入食品・珈琲豆販売を「カフェランテ」、ワインを始めとする酒類を「イオンリカー」、フラワー&ガーデンを「ルポゼ・フルール」として専門店化し品揃えを大幅に拡大する。

イオンスタイル古川橋駅前の地獲れ鮮魚コーナー。
岸和田漁港など近郊漁港の鮮魚が目立つ。

2階では直営ファミリーファッション専門店「ESSEME」「SELF+SERVICE」「TOPVALU COLLECTION」によるファミリーファッションの強化や服飾雑貨・キッズ関連商品「KIDS UNIVERSITY」のコーナー化を実施。改装前に各階に分散していた健康関連(S&BC)商品群を集約し、調剤薬局「イオン薬局」を導入することで、日々の暮らしのシーンごとにスムーズに買物できるような環境を整える。

イオンスタイル古川橋駅前2階「MARCHE rouge」。

3階では直営スポーツアパレル「sporsium」とグループの靴量販店「ASBee」の売場を設け、専門店フロアの体操教室などとの相乗効果を狙う。

イオンスタイル古川橋駅前3階「sporsium」。
専門店と変わらない空間づくりが特徴だ。

そよら専門店1階では「食」を提案

そよら古川橋駅前1階のテーマは「フードワールド」。
入口正面に広がるフードコート「ふるえきキッチン」には「バーガーキング」「うどんの祥 かな泉」「南蛮食堂」「千客万来まねきだこ」「京都ラーメンたかばし」「FUJIYA CONFECTIONERY」の6店舗が集積するほか、ポップアップショップも展開。「食品売場との融合」を謳う空間として、300席の座席では直営食品フロアの惣菜やピザのイートイン、スマホのバッテリー不足に悩む買物客の充電も可能となっている。

イオンそよら古川橋駅前1階「ふるえきキッチン」。

また、隣接する飲食店のうち、シアトルスタイルのカフェ「スターバックスコーヒー」、松屋フーズの牛めし・とんかつ複合店舗「松屋」「松のや」では施設外からの入店も可能であり、専門店街の営業時間にとらわれない長時間営業も行う。

そよら専門店2階には門真初の衣料雑貨やコワーキングも

そよら古川橋駅前2階のテーマは「コンフォートライフ」。
ストライプのレディスアパレル「Green Parks topic」やワールドのファミリーアパレル「SHOO・LA・RUE」を始め、ダイソーグループの均一ショップ「THREEPPY」「Standard Products」、北欧・米国家具雑貨店「ANTENNA」、イオングループの「未来屋書店」など快適な生活を支える専門店が集積する。

未来屋書店&MIRAIYA Bookmark Lounge古川橋駅前。

未来屋書店では子供向け書籍の拡充や読み聞かせ企画といった施策に加え、コワーキングスペースを併設するなど、書店という業態にとらわれない空間をめざす。

3階は世代問わず健康になれる空間に

3階のテーマは「ヘルシーライフスタイル」。
関西初となる学生向け新体操教室「イオン新体操スクール」や大阪初となるトレーニングスタジオ「イオンスポーツクラブ3FIT」、ペット専門店「PETEMO」、ゲームセンター「モーリーファンタジー」といったグループの専門店に加え、100円ショップ「ダイソー」や大型キッズリユースショップ「ふくちゃんリユスタ」など展開。

ファミリー層の期待度が高かった「ふくちゃんリユスタ」。

直営専門店(SporsiumやASBee)と親和性の高い空間は「専門店さんを入れながら、病気になった人を予防するようなフロア構成」(安澤正臣イオンスタイル古川橋駅前店長談)をめざしたものであり、2024年2月までに開設予定の門真市消費生活センター・ 門真市女性サポートステーション「門真市くらしの相談窓口」やクリニックゾーンとともに地域の健康や生活に不可欠な空間となりそうだ。

開業式典にはハッピーワオンも登場

イオンそよら古川橋駅前の開業を記念し、開業当日朝からイオングループ共通電子マネーのイメージキャラクター「ハッピーワオン」や門真市イメージキャラクター「ガラスケ」が待機列に登場。待機列で動き回り、地元音楽グループの門真市歌にあわせてダンスを踊るなど盛り上がりをみせた。

イオンそよら古川橋駅前のテープカットセレモニー。

午前8時30分開始の開業式典式典には、川本昌彦イオンリテール執行役員近畿カンパニー支社長に加え、宮本一孝門真市市長や川村光世光亜興産社長など、旧店舗時代から縁の深い地元関係者やテナント代表者など多数参加した。
そのなかで、川本昌彦イオンリテール執行役員近畿カンパニー支社長は「今の時代にあったショッピングセンターとして生まれ変わることとなった。」「これからも末永く、皆様、地域に、門真市の皆様に愛される店をめざして頑張ります。」とコメント。
宮本一孝門真市市長は「古川橋駅前はこれから大きく変わっていく。こちらが大きく変わっていくのと同時に、北側にはタワーマンション、門真市の図書館・文化会館・複合施設が数年後にオープンしてまいります。」「古川橋から広がっていくんだろうなと思う。」「(ガラスケとハッピーワオンが動いでいるが)門真は犬で猫でちょうどよかった。猿(去る)やなくてよかった。」と古川橋駅前で進む再開発プロジェクトや市制施行60周年と絡めコメントし、テープカットによる新たな幕開けとなった。

流れ込む買物客とハッピーワオン。

従来と異なる改装思想のもと、躯体活かし「リボーン」

イオン古川橋駅前店は、1984年2月のダイエー古川橋駅前店としての開店当初は“広域商圏型”の店舗であったが、競合店の増加や老朽化を背景に半径2km圏内の“足下商圏型”の店舗に変化していた。また、主要客層も「GMS開店からそのまま客層年齢があがる」など高齢化が進み、新規顧客の獲得も厳しい状況となっていた。

従前のGMS(総合スーパー)から刷新したという空間。

イオンリテール近畿SC部住井竹男部長によると、一般的な店舗のリニューアルは3億円~5億円の投資規模であるが、そよら古川橋駅前のリニューアルは「新店1店級」「うん十億円」(詳細金額や売上は非公表)の投資規模であり、従来地元服飾宝飾関連テナントが中心だった1階玄関付近を全部フードコート(及び飲食店街)に転換するという思い切った取組みができたという。
取組みの結果、そよら古川橋駅前の専門店42店舗のうち36店舗が新規出店、残る6店舗も館内移転やブランド変更をともなうリニューアルとなり「子育て世代が車で来てもらえるような施設」となった。
また、取材では今後の同社による既存老朽店舗のスクラップ&ビルドや近畿SC部が位置づける“リボーン”のあり方、具体的な出店戦略が明らかとなった。

安澤正臣イオンスタイル古川橋駅前店長。

そよら古川橋の今後について、取材に応じたイオンリテール近畿SC部住井竹男部長は「(従来比1.3倍の)年間500万人の客に来店いただけたら」、イオンスタイル古川橋駅前店「各店地域のお客様、商圏にあった品揃えのもとイオンスタイルとなった。」と希望を寄せており、そよらのコンセプト通り、従来以上に地域にとって気軽に寄って楽しめるスポットとなりそうだ。

イオンそよら古川橋駅前

住所:大阪府門真市末広町41-2
営業時間:8時~23時(イオンスタイル1階)
営業時間:9時~22時(イオンスタイル2階3階)
※各専門店は店舗により異なる
※最新情報はそよら古川橋駅前公式サイトを参照

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