千葉県船橋市のJR・東武鉄道船橋駅に直結する百貨店「東武百貨店船橋店」で進められていた全館リニューアル工事が2021年12月11日に完了し、目玉の1つである地下1階の生鮮食品・グロサリー売場が「FUNABASHIいちばんち市場」として同日にリニューアルオープンした。
東武百貨店船橋店。
船橋市唯一の地域密着型百貨店
東武百貨店船橋店は1977年10月7 日に開業。東武野田線(アーバンパークライン)船橋駅ビルも兼ねる建物は地下2階、地上8階建てで、売場面積は35,876㎡。
「地域・沿線のお客さまの『マイストア』になりたい」をコンセプトに、2018年2月の西武船橋店の閉店以降は、船橋市唯一の地域密着型百貨店として営業している。
18年ぶり改装、「いちばんち市場」の由来は魚市場
改装の目玉は地下1階食品売場に「FUNABASHIいちばんち市場」を開設したこと。2003年以来、18年ぶりの改装となった。
「FUNABASHIいちばんち市場」の由来は、かつて船橋駅前にあった民営魚市場と、市街地にあった11の民営青果市場が生鮮食品の流通の拠点となっていたことを踏まえ、現在船橋駅前に店舗を構える同店が、かつての市場のように地域・沿線に暮らす人々の毎日の食卓を豊かに彩る場であり続けたいという思いから名付けたもの。また、売場の位置である「1番地」から「いちば(市場)」や「ちば(千葉)」、「いちばん(ナンバーワン)」などの語呂あわせで「いちばんち」と平仮名で表記したという。
「いちばんち市場」のサイン。
「地域密着」「ワンストップ」「ストレスフリー」掲げる
FUNABASHIいちばんち市場は「地域密着」「ワンストップ」「ストレスフリー」という3つのキーワードを掲げており、コンセプトは「高品質な商品を楽しく買い物できる場所」。
フロア構成。
まず「地域密着」の面では、千葉県や船橋市にゆかりのある商品が強化された。例として、グロサリー専門店「北野エース」では、食品メーカー「セゾンファクトリー」の船橋にんじんドレッシングや、海苔専門店「森傳」の海苔、煎餅専門店「森山清次兵衛」の煎餅などを展開。他にも千葉県関連商品には「We LOVE千葉」のポップを貼るなど、県産品アピールを前面に出している。
船橋にんじんドレッシング。
他にも、青果専門店「船橋丸あ商店」では、地元船橋産の小松菜やほうれん草、かぶを強化展開し、精肉専門店「スギモト」では、恋する豚研究所の豚肉を展開するなど、生鮮・グロサリー共に充実した品揃えになっている。
船橋産のほうれん草と小松菜。
また、店舗内装には船橋市在住のイラストレーター小倉正巳氏のグラフィックを採用。1階1番地側の階段には同氏のグラフィックによるフォトスポットも登場し、売場に温かい印象を与えていた。
階段に設置されたフォトスポット。
「ワンストップ」の面では、今までの青果・精肉・鮮魚・グロサリーに加え、新たに惣菜専門店「いい菜&ゼストプラス」が出店。さらに「北野エース」による酒コーナーの新設、全国銘菓選の移設により、1ヶ所で食料品全般をまとめて購入できる非常に利便性の高い売場が誕生した。
北野エース。
さらに、鮮魚・精肉売場では店舗の入れ替えも実施。鮮度の高い魚介類を全国から取りそろえた鮮魚専門店「魚力」と、千葉県初出店の精肉専門店「スギモト」が12月9日に先行オープン。同店は同社の店舗では関東最大級のスケールで登場した。
お肉の専門店スギモト。
「ストレスフリー」の面では、以前は6台だったレジを10台に増強。更に、メイン通路を2400mmから2700mmに拡張し、より多くの顧客が利用しやすい売場に生まれ変わった。
この他にも、スーパーメイトの抗菌・抗ウイルス加工のカートとカゴを百貨店で初導入し、耐久性・防汚性の高いセラミックタイルを採用することにより、より清潔で安心・安全に買い物できる売場にもなっている。
多くの買い物客でごった返した開業初日
グランドオープン初日となった12月11日は、休日ということもあり、10時の開店と同時に老若男女問わず幅広い客が訪れ、歩行が困難になるくらいの混雑ぶりとなった。
とくに鮮魚専門店「魚力」は開店2,3時間後も周辺がごった返した状態が続くほどの人気であった。更に惣菜・菓子などの売場も協賛セールを行っており、こちらも人気を博していた。
人でごった返す売場。
上層階も「地域密着型」へリニューアルが進む
東武百貨店船橋店では、地階以外においても2020年より全館でフロア刷新を進めており、新規オープンしたテナント、リニューアルしたテナントが多数存在している。
ここでは主な改装・リニューアル内容、新規出店店舗などを紹介する。
7階
全国の名店のラーメンが月替わりで食べられる飲食店「諸国ラーメン紀行」が2021年3月にオープン。
6階
書籍「旭屋書店」が5階から移設し、文具売場も新設し2020年11月20日にリニューアルオープン。
これに合わせ、紳士雑貨売場やイージーオーダースーツ売場、アウトドアウェア「エーグル」も2020年9月にリニューアルオープン。更に、旅行用品の「エース」も地階より移設した。
旭屋書店。
紳士雑貨売場。
5階
ファストファッションの「ユニクロ」が2021年3月12日、大型靴店「ABCマート」が2021年4月24日、子供写真館「スタジオマリオ」が2021年7月16日にそれぞれオープンした。
これに合わせ、子供服「メゾピアノ」「メゾピアノJr」「ポンポネットJr」「クレードスコープ」「センスオブワンダー」、茶道具売場、印章「平安堂」、和雑貨「鳩居堂」、メガネ「JINS」も2020年秋にリニューアルオープンした。
イトーヨーカドーより移転したユニクロ。
4階
婦人服・生活雑貨「ローラアシュレイ」が2021年2月13日にオープン。タオル・パジャマ「ファビュラスタイル」が2020年9月17日にオープン。
他にも、地下1階から介護用品の「カインドウェア」、パジャマの「荒川」「ワコールらくらくパートナー」、婦人服の「生き活き倶楽部」が2021年7月に移設。
また、婦人服の「クレッシェント」「詩仙堂」「デシグアル」「銀座花菱」「KBファー」や、ゴルフウェアの「アダバッド」「ピッコーネ」もリニューアルオープンしている。
ローラアシュレイ。
1階
化粧品「アヴェダ」が2021年2月26日にオープン。
他にも、2021年6月24日に化粧品「ファンケル」、ハンドバッグ「マザーハウス」が2021年7月29日に、婦人靴売場や「銀座ヨシノヤ」が2021年春にリニューアルオープン。
また、免税カウンター、お買い上げ品一時預かり所、遺失物拾得承り所が2021年春に地下1階から移設されている。
売場が2倍になったマザーハウス。
地下1階
ドラッグストア「マツモトキヨシ」が2021年5月30日に、洋菓子の「ベルプラージュ」が2020年9月にそれぞれオープンした。
この他にも、海苔・茶・佃煮売場やカタログギフト売場も2021年春にリニューアルオープンしている。
マツモトキヨシ。
全館の「地域密着」強化で生き残りを図る
東武百貨店船橋店では、今回のリニューアルに先駆けて2017年のビックカメラを導入。それ以来、生活に必要なものがワンストップで購入できる場所をコンセプトにフロア刷新を続けてきた。
今回の改装では、同店の強みの一つである食品部門がさらに強化され、日常的な利便性が大いに向上した。
新型コロナの影響や競合店との競争の中で、今後どれだけ地域・沿線住民の支持を得られる店舗を作ることができるかが同店の生き残るキーワードになるであろう。
「FUNABASHIいちばんち市場」テナント概要
- 木更津 厚生水産(塩干・魚惣菜)
- 魚力(鮮魚)
- 船橋 丸あ商店(青果)
- 九州屋(青果)
- 北野エース(グロサリー)
- 人形町今半(精肉)
- お肉の専門店スギモト(精肉)
- いい菜&ゼストプラス(惣菜)
- 全国銘菓選
東武百貨店船橋店 FUNABASHIいちばんち市場
住所:千葉県船橋市本町7-1-1 地下1階
営業時間:10時~20時(FUNABASHIいちばんち市場)
※営業時間は各階・売場で異なる。