和歌山県田辺市東山のオークワ系複合商業施設「オーシティ田辺」が、2021年2月20日をもって閉店する。
オークワオーシティ田辺店。
オークワグループの旗艦店として開業-約40年の歴史に幕
オーシティ田辺は1982年4月に開業。建物は地上7階建、敷地面積は約22,579㎡、店舗面積は7,499㎡。
開業当初は、低層商業棟(1~3階)に直営総合スーパー「オークワオーシティ田辺店」や市内初となるミスタードーナツ、高層ホテル棟(1~7階)にはオークフーズ運営の「紀伊田辺シティプラザホテル」が出店。
建物が高低差を活かした複雑な構造であったため、店舗正面には和歌山県道31号線田辺白浜線を跨ぐ「オークワ礫坂陸橋」を整備、県道側1階2階・ホテルエントランス側3階にそれぞれ玄関を設置。店内には3層を貫く吹き抜けと噴水、ホテルには和洋食レストランや結婚式場・宴会場・会議室を備えるなど、同社の旗艦店の1つだった。
県道31号線を跨ぐ「オークワ礫坂陸橋」。
オークワはオーシティ田辺の出店を機に、わくわくシティ尾崎(1986年11月)やスカイシティ泉南(1992年12月)、パームシティ和歌山(1993年11月)といった愛称に“シティ”を冠する郊外型ショッピングセンターの開発を進めた。
一方で、オーシティは1996年10月の「オークワパビリオンシティ田辺」の開業もあり、2000年代初頭までにグループ内外の専門店が撤退を開始。さらに、再開発構想が持ち上がったこともあり、高層階のホテルは2019年9月30日に閉館していた。
オークワオーシティ田辺店。
2021年2月現在のテナントはメガネ館ヤマナカが運営する眼鏡店「眼鏡市場」や1,100円カット専門店「カットコムズ」など4店舗のみとなっている。
オーシティ、市役所用地に-敷地に小型のオークワ開店
オーシティが立地する田辺市は、南海トラフ地震対策として老朽化した市庁舎を高台移転する方針を決定。
新庁舎整備計画地として「オーシティ田辺」の地権者である紀州のドンファンこと故・野崎幸助氏らとの交渉を開始、2017年8月に「田辺市新庁舎整備事業に係る基本協定書」を締結、2018年3月に「田辺市新庁舎整備事業に係る土地及び建物等の取扱いに関する確認書」を締結。そして、オークワの閉店・解体撤去と跡地への新庁舎整備、敷地内へのオークワ再出店の方針が決まった。
敷地は3分割され、その一部にはすでに「オークワ田辺東山店」(地上4階建、売場1階、建築面積は約2,149㎡、延床面積約7,995㎡)の建設が進められている。同店は3月6日に開店する予定。
また、オーシティの別館的存在だった「TSUTAYA WAYオーシティ前店」(イズミヤ紀伊田辺店跡)は「WAY書店 TSUTAYA田辺東山店」として2020年11月にリニューアルオープンしており、こちらも併せて営業を継続することとなる。