中合福島店、2020年8月31日午後7時閉店-雨の最終営業日、創業190年・創立146年の歴史に幕

福島県福島市のJR福島駅前にある百貨店「中合福島店」が、2020年8月31日をもって閉店。創業から190年、創立から146年の歴史に幕を下ろした。

営業最終日の中合福島店。

福島市唯一の百貨店、190年の歴史に幕

中合は1830年に近江商人・中村氏が行商として創業、1874年に福島市荒町で中村呉服店として店舗を構えた。現店舗の「辰巳屋ビル」は1973年に開店、1978年にはダイエー傘下となった。
辰巳屋ビルは地上10階地下3階建で、中合は地上7階~地下1階に出店。8階〜10階には「ホテル辰巳屋」(2019年8月閉館)が入居していた。
閉店は再開発事業によるもの。福島駅東口では「福島駅東口市街地再開発準備組合」が2018年4月に設立されていた。事業協力者は野村不動産で、地元不動産会社・エスケーワン(福島市)なども参画。開発対象地域は中合の入る辰巳屋ビルから、21年開業予定の福島県立医大新キャンパス(旧アクティ21)西側に至るまでの約13,000㎡の区画となる。

メッセージボード。

中合は再開発を前に2017年8月に隣接する「中合二番館」(旧・山田百貨店→ダックシティ山田・福島ビブレ旧店舗)を閉鎖、コロナ禍である2020年5月には、再開発ビルに入居せず「8月末での閉館・廃業」を発表していた。
閉店した中合二番館。

計画では中核施設として18階建ての建物が建設される。今後、2025年度の竣工を目標に工事が進められることとなる。

再開発の経緯は「コチラ」へ。

雨の最終営業日、新型コロナで式典は中止に

最終営業日となる8月31日は、雨模様の空ながら午前10時の開店前から閉店を惜しむ多くの買物客が行列に並んだ。待機列周辺では買物客による記念撮影や地元紙による特集記事の配布も行われるなど、閉店当日ならではの光景がみられた。

営業最終日の中合福島店旧・ツイン広場側玄関。

福島市内では昼前から雨が降り始めたもの、キダ・タローが作曲したオリジナルソング「デパート中合」や閉店の挨拶が流れる中合館内は買物客で賑わいをみせ、ブランドによっては入店規制も行われるほどであった。
また、午後5時ごろには館内で体調を壊した買物客が救急車両で運ばれる事件も発生した。

閉店1時間前の中合福島店。

中合は「新型コロナウイルス感染拡大防止」を理由として式典を行わない方針を告知していたが、午後6時ごろから閉店を見届けるべく東口入口付近に買物客が増加したため、従業員による閉店案内と買物客待機スペースの確保(柵の開放)が行われた。午後6時45分には旧・ツイン広場側玄関の入場規制を開始、午後6時55分には当初の閉店予定時刻(通常閉店時刻)を5分前倒す形でシャッターを閉鎖。午後7時10分までに買物客の見送りを終え、中合は創業から190年、創立から146年の歴史に幕を下ろした。

シャッターを下ろす中合福島店。

中合は会社清算、一部ブランドは駅周辺に移転

中合は福島本店の閉店決定にあわせて、会社を清算する方針を示している。清算業務の一環として7月1日から同社及び中合友の会が発行した各種商品券(中合商品券・三春屋商品券・友の会券)の払戻受付を開始、12月1日からは百貨店共通商品券(中合福島店・三春屋店・棒二森屋店・十字屋山形店・清水屋店・会津店)の払戻受付を開始する。
また、中合に入居していた一部ブランドは「AXCビル」(旧・ニュー福ビル/長崎屋福島店)や建設中の「Lamp120」など駅周辺に移転する。

店頭に掲示された告知。

中合が出店する建物は、再開発に伴い2022年度までに解体される方針が決まっている。跡地には商業施設やホテル、分譲マンションといった機能を備えた複合施設が2025年度を目処に開業予定であるが、新たなビルの核テナントや、福島駅前での中合に代わる百貨店・ギフトショップの出店など詳細については未定となっている。

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