丸栄、2018年6月30日閉店-403年の歴史に幕、再開発へ

名古屋市の老舗百貨店「丸榮」(丸栄)が2018年6月30日に閉店し、403年の歴史に幕を下ろす。

丸栄。

創業から403年…名古屋を代表する老舗百貨店

丸栄は1615年に創業した「十一屋呉服店」を起源に持つ。
現在の建物は1937年に丸物系の「三星百貨店」として建設されたものだが、戦時中の物資不足により3階までしか完成しなかった。1943年に「三星」は「十一屋」と合併して丸榮となり、1952年に建築家・村野藤吾の設計により、地上8階地下2階の現店舗が完成した。

日本建築学会賞受賞作品である。

1973年には更なる増築が行われ、専門店街「スカイル」も開業。現在の丸栄とスカイルを合わせた売場面積は58,022㎡となっている。また、1971年には豊橋市に支店の豊橋丸栄を開業させた。

シンボルのタイル壁画。

若者向けに舵を切るも売上げ激減-「興和」傘下に

その後、丸栄は名古屋三越(1980年開店、旧オリエンタル中村百貨店)などのライバル百貨店と差別化するために若者向けに舵を切り、松坂屋、三越、名鉄百貨店と合わせて「4M」と称され親しまれた。
しかし、バブル崩壊前後からは名古屋パルコ(1989年開店、1998年増床、パルコで売上トップ)やJR名古屋高島屋(2000年開店、2017年増床)、インターネット通販との競合に晒されることになったうえ、若者のアパレル消費の落ち込みにより苦戦。2008年には経営難から製薬(コルゲンコーワ)などで知られる名古屋市の大手商社「興和」と業務資本提携を結び、2017年7月には興和の完全子会社となった。また、2010年には豊橋丸栄を投資ファンドに売却している。豊橋丸栄はその後、2012年に「ほの国百貨店」となり営業を続けているが、かつて新城市、田原市にあったギフトショップ(豊橋丸栄運営)は閉店している。
 バブル期には800億円台だった丸栄の年商は、2017年2月期には186億円にまで下落し、3期連続の赤字となっていた。

丸栄は百貨店廃業へ-暫定ビル建設後に大型再開発へ

興和は丸栄の跡地と広小路通りを挟んで隣接する同社所有の「栄町ビル」と「ニューサカエビル」の敷地を含めて一体的に再開発することを発表している。
丸栄は閉店後に解体され、2020年ごろ跡地に暫定的な再開発ビルを建設。 その後、再開発の計画がまとまり次第、暫定的な再開発ビルを解体し、地域のランドマークとなる大規模再開発ビルを建設する計画だ。
丸栄は2017年春から本館の耐震化工事をおこなうなど営業継続への意欲を見せていたものの、2018年6月30日の閉店後に百貨店を廃業し、403年の歴史に幕を下ろすこととなる。

外部リンク:丸栄 MARUEI – 名古屋・栄の百貨店 催事や名古屋名物Shopping
ニュースリリース:営業終了のお知らせ(PDF)
関連記事:名古屋市営地下鉄の「サークルK」8店、ローソンに-池下駅店は“ドアラまみれ”
関連記事:KITTE名古屋、4月1日グランドオープン-「名古屋駅バスターミナル」開業に合わせて

このエントリーをはてなブックマークに追加