茨城県つくば市の「西武百貨店筑波店」(筑波西武)が2月28日20時を以て閉店し、32年の歴史に幕を閉じた。
西武百貨店筑波店。
万博に合わせた「セゾンショールーム」としての開店だった
西武百貨店筑波店は、つくば科学万博に合わせて1985年3月に新治郡桜村(現・つくば市)に開業。
当時、村にある大手百貨店は日本唯一で、開店当初は周辺人口が少なかったために西武セゾングループのショールーム的な存在の店舗だった。
開店時は日本初のスパイラルエスカレータが導入されたことでも話題を呼んだが、現在は撤去されている。
スパイラルエスカレータ、ポーターロボット…かつての西武には「近未来」があった。 (閉店時のパネル展より)
入居する「クレオスクエア」(売場面積30,832㎡)は、筑波都市整備株式会社が所有。そのうち、西武百貨店は売場面積16,688㎡を占める。
クレオスクエアは総合スーパーの「イオン」(売場面積6,681㎡)と2核1モールを形成している。
改装直後、真新しい外装に「閉店」の文字-静かな閉幕に
最終営業日を迎えた28日は、店舗の別れを惜しむ客で混雑した。
新築かと見紛うような建物は、実は半年ほど前に補修されたばかり。閉店発表時も外壁補修中であったため、真新しい外装に掲げられた「閉店」の文字は、余計に物悲しさを印象づけるものとなった。
真新しい外観。
2階の正面口では、開店した1985年にちなんで先着1985名にデンファレの花が贈られたほか、入口には開店からの歩みや、客から寄せられた西武の想い出が掲示された。
パネル展では、ロボットが働くという開店当時の写真を見ながら「未来的だな…」との驚く客の様子も見られた。
西武の想い出メッセージコーナー。
筑波西武は筑波大学にも近いことから、かつて大学に在籍した人の「お名残り訪問」とおぼしき姿も多くあった。
閉店セールに訪れた60代男性は「一つの時代が終わった。ネットで何でも買えるからなあ」と語ったほか、様々な世代の客から「跡地は何になるんだろう…」との声が多く聞かれた。また、「化粧品を買うところがなくなるから困る」という20代女子学生もいた。
閉店を迎えた20時すぎにシャッターが下ろされると、客から拍手が起きた。
「安全性」を名目に閉店セレモニーなどは実施されず、閉店挨拶もない静かな閉幕だった。
跡地は未定-茨城県の百貨店は1店のみに
閉店を迎えた西武百貨店筑波店であるが、跡地の活用方法は未定となっている。オフィスビルとして再活用を目指すクラウドファンデイングが実施されたこともあったが、不成立に終わっている。
西武百貨店の閉店により、クレオスクエアは半分以上が空きビルとなってしまう。館内に出店するイオンについては、今後も営業を継続する。
また、西武百貨店に出店するテナントのうち、ハウスオブローゼ、ファンケル、第一花壇、JTB(交通公社)は隣接する「Q’t」に、ブックセンターリブロはクレオのエスカレータ横の空きスペースに移転する。
(リブロは売場面積が狭いため、仮店舗と思われる)
感謝の挨拶が掲げられた。
かつて県内最大手であった伊勢甚をはじめとして、各地に多くの百貨店が立地していた茨城県であるが、西武百貨店筑波店の閉店により、県内の百貨店は水戸京成百貨店のみとなる。
外部リンク:西武筑波店
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