阪急阪神東宝グループ系流通事業持株会社「エイチ・ツー・オーリテイリング」(H2O/本社:大阪市北区)の食品スーパー事業統括中間持株会社「関西フードマーケット」(本社:兵庫県伊丹市)は、新社名「十三フードマーケット」に2026年4月1日付で変更する。
イズミヤ・阪急オアシスが本社を置く「H2O十三ビル」。
2024年にH2O完全子会社となった関西フードマーケット
関西フードマーケットは1959年7月に大阪市東淀川区で「相互産業」として設立。同年11月に兵庫県伊丹市で食品スーパー1号店「関西スーパーマーケット伊丹店(現中央店)」を開店。1974年8月に「関西スーパーマーケット(初代)」に社名変更した。
同社は創業当初、食品スーパーの共同仕入機構「オール日本スーパーマーケット協会(AJS)」立ち上げに参画したこともあり、AJSの中核企業としてPB商品「くらし良好」(生活良好)を販売、自社指定牧場「720牧場グループ」ブランド牛の全国展開に大きな役割を担っていた。
関西スーパー京阪大和田店。(大阪府門真市)
同社は2016年10月にH2Oリテイリングと資本業務提携を締結し、H2O子会社商品(阪急阪神百貨店中元・歳暮商品など)や阪急阪神グループ共通ポイント「Sポイント(旧STACIA)」取扱開始、レジスター共同開発に取組んでいた。
2021年12月にはH2O系食品スーパー「イズミヤ(食品販売事業)」「阪急オアシス」との経営統合を実施し、2022年2月1日には現社名への変更にあわせ持株会社化。
2023年4月に旧H2O系食品スーパー2社を「イズミヤ・阪急オアシス」として完全統合し、2024年7月にH2O完全子会社となるなど、小売市場縮小や競合進出といった「事業環境の変化に対する迅速な対応」「親子上場関係によるコーポレートガバナンス(利益相反)の課題から困難だった人材設備共有・物流統合」を目的とした再編を相次ぎ打ち出していた。
H2Oの一大拠点「十三」冠す新社名に
関西フードマーケットの十三フードマーケットへの社名変更は、傘下の食品スーパー事業会社2社(イズミヤ・阪急オアシス及び関西スーパーマーケット)の完全統合と関西フードマーケット(2代目)への社名変更にともなうもの。
エイチ・ツー・オー・食品グループ本社(2022年当時)。
H2Oリテイリングは十三フードマーケットの社名由来を明らかにしていないが、同社は長らく食品スーパー事業会社各社の本社機能を大阪市淀川区の複合商業施設「H2O十三ビル(旧阪急十三商品センター)」に展開(イズミヤ・阪急オアシスの登記上の本社は大阪市北区)するなど、営業拠点として同地域を重要視してきた。
H2O系食品スーパー事業会社各社は2025年9月現時点において十三駅周辺に店舗を展開していないが、阪急阪神不動産によるジオタワー大阪十三など低層階への食品スーパー導入を明らかにしている再開発物件もあり、お膝元への新店舗も見込まれる。一方、事業会社完全統合により中間持株会社の役割は大幅に縮小することとなり、さらなる経営効率化を目的とした十三フードマーケットと関西フードマーケットの統合も予想されそうだ。
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