三重県津市の県道114号線沿いにある流通大手「イオングループ」の総合スーパー事業会社「イオンリテール」が運営する商業施設「イオン津ショッピングセンター」が建替えのため、2024年2月12日18時をもって閉店した。
最終営業日を迎えたイオン津ショッピングセンター。
(写真:HEY エレ鉄!!さん)
日本初「ジャスコ+ニチイ」異色の大型SCとして誕生
イオン津ショッピングセンターは、中央毛織工場跡地の再開発にともない、1978年9月に流通大手系スーパー「ジャスコ津北店」「ニチイ津店」を核とする商業施設「津ショッピングセンターエル」として開業。開業当初の建物は地上2階建で中央毛織(後の中央コーポレーション/双日→ゼクス傘下を経て経営破綻)が所有していた。ジャスコとニチイという、ライバルであった流通大手2社の両方が核となる大型ショッピングセンターは日本初であった。
津ショッピングセンターエルは、流通大手と地場大手による商業施設の共同展開(鈴鹿ハンター、日永エコー、旧津南サンバレーなど)が多数みられた三重県内でも異色であり、開業当初はジャスコが食品、ニチイが衣料品を中心に取扱う運営方式を採っていた。
しかしその後は、施設間競争の激化を背景とした増床リニューアルの一環として、1994年1月にジャスコが撤退することとなった。
1994年に東海初のサティ、2011年3月にイオンに転換
津ショッピングセンターエルは、1994年4月の新装開業にあわせてニチイ(後のマイカル)の生活百貨店「津サティ」として全面刷新を図った。
サティ時代のデザインが残る看板。(写真:HEY エレ鉄!!さん)
津サティは東海地方で初となるマイカルグループの生活百貨店業態であり、2000年12月には別棟に複合映画館「ワーナーマイカルシネマズ津」を新設するなど、グループの同地域における旗艦店としての役割をめざしたが、2001年9月に同社が民事再生法を申請し経営破綻したことで状況が一変。マイカルの支援企業として、前身施設(津ショッピングセンターエル)の食品核を担ったイオン(ジャスコ)が再び運営に参画することとなった。
津サティでは2003年1月からイオンの支援を受けつつリニューアルを実施。2011年3月にはイオングループ総合スーパー事業再編の一環として核店舗名を「イオン津店」、施設名を「イオン津ショッピングセンター」に変更した。
イオン津ショッピングセンター・全景。
かつてはジャスコとニチイの看板が並んでいた。
地域密着・集客力向上の取組み図るも老朽化で一時休業
イオン津ショッピングセンターは、2013年10月にイオンリテールからグループの不動産ディベロッパー「イオンモール」による管理運営に移行するなど、津市内唯一(当時)のモール運営施設として集客力向上に取組んだ。(現在はリテール運営に再び移行)
一時はイオンモールが運営していた。(写真:HEY エレ鉄!!さん)
また、2021年2月に建替えのため閉店した「イオン白子店(白子ショッピングタウンサンズ)」(鈴鹿市)の受け皿として、白子店のシンボル「からくり人形」を核に据えたメモリアルゾーンや広大な学習スペースを新設するなど、地域密着の姿勢を打ち出した。(現在「イオンスタイル鈴鹿白子」として建替え中)
イオン津の「イオン白子店」メモリアルゾーン。
一方、同施設は県内の系列施設と比べ老朽化が進んでいたこと、足元商圏内においてもPPIHグループの総合ディスカウント「MEGAドン・キホーテ津桜橋店」や地場大手食品スーパー「マルヤスベーシック島崎店(旧マルヤスコスモス島崎店)」を核とする施設が開店したことを背景として、2023年12月14日に現施設を2024年2月12日付で閉店する方針を発表していた。
「心の片隅に思い出として」…45年の歴史に幕
閉店当日となった2月12日は開店時間から多くの客が訪れ、来店客には花が配られた。また、店内では店舗の歴史をしのぶ展示もおこなわれた。
数奇な運命を辿った店舗の思い出。(写真:HEY エレ鉄!!さん)
閉店時間の18時にはセレモニーが開催された。
専門店街理事長が「最後のこの時間まで暖かく見守って頂きありがとうございます。(中略)我々専門店が45年続けてこられたのは皆さまのおかげです。」と挨拶。続いてイオン津店の奥田忠司店長が、店舗での思い出に触れつつ「お寒いなかありがとうございます。(中略)お店が、心の片隅に思い出となって残ってくれたら本当に幸せです。」と締めくくり、イオン津ショッピングセンターはエル・ジャスコ・ニチイ、サティ、イオンと移り変わった45年の歴史に幕を下ろした。
多くの人が集まった閉店セレモニー。
(写真:HEY エレ鉄!!さん)
跡地には新施設検討、イオンシネマは営業継続
イオンリテールは2024年2月現在、イオン津ショッピングセンター跡地の具体的な活用方法、新店舗の概要(業態・規模・再開時期)などを明らかにしていない。
一方で、別棟の「イオンシネマ津(旧ワーナーマイカルシネマズ津)」は施設一時休業後も営業継続する方針を打ち出しており、2024年春に建替新装開業を予定している「イオンスタイル鈴鹿白子/そよら鈴鹿白子」同様に「地域の商業核を担う商業施設」として再生する方針としている。
なお、イオン津店休業期間中の代替店舗はイオンスタイル津南(イオンモール津南/旧津南サンバレー)となっている。
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