大手スーパーのダイエーは、JR市川駅前の総合スーパー「ダイエー市川店」を全面改装し、12月1日より「イオンフードスタイルストアby daiei」に業態転換した。
フードスタイルストアとなったダイエー市川店。
食品中心の「フードスタイルストア」へ転換
ダイエー市川店は1975年7月開業。建物は地下2階地上14階建てで、売場面積は12,921㎡。地元企業の「市川ビル」が所有している。16層の商業ビルは、ホテルなど以外では日本でも殆ど例を見ない規模だ。
今回の改装では、ダイエー直営売場を従来の6フロア(1~6階)から4フロア(1~4階)に集約するとともに、5~6階にはイオン系の専門店などを導入。直営売場は食品売場を中心とする「イオンフードスタイルストアby daiei」に転換した。
1階食品売場では、レシピ提案や食事サポートなどを行うキッチンサポート「dai-docoro」、直営焼き立てパン売場「D’sベーカリー」を新たに導入。精肉コーナーではダイエー直営牧場で飼育された「さつま姫牛」「さつま王豚」の品揃えを従来比の約1.3倍に拡大した。
dai-docoro。(公式サイトより)
3階では、既存のフードスタイルストアが特徴としていた「ボタニカルショップ」の小型新業態「Breath」を開設。さらに、2階にあった酒売場を移設するとともに、ダイエーおすすめのワインや挽きたてコーヒーを提供する「テイスティングバー」を首都圏初導入。バーに隣接してイートインスペースも新設されるなど、フードスタイルストアの新たなモデルとなる改装となった。
テイスティングバー。(公式サイトより)
また、これまで衣料品や雑貨売場として営業していた5~6階は専門店フロアへと転換。イオンが運営する大型スポーツ用品店「スポーツオーソリティ」、イオン傘下のアパレルショップ「TAKA-Q」、靴専門店「ASBee」などが新たに出店した。
段階的な「脱GMS化」でダイエー直営売場は16層中4層に
ダイエーと建物所有者の市川ビルの間では2000年以降、「IDP(Ichikawa Develop Project)」と呼ばれる合同会議を開催し、関係性を深めてきた。ダイエーの経営悪化に伴う全国的な店舗閉鎖が行われていた2006年には、7階にダイエーとユニクロ(ファーストリテイリング)が共同出資するファストファッション専門店「GU」を導入(現在は撤退済)。その後もダイエーと市川ビルの積極的な連携によって、直営売場の縮小と専門店比率の拡大などの売場改革が度々行われてきた。
今回のリニューアルでは5〜6階の直営売場が専門店フロアとなり、直営売場は全16フロアのうち4フロアまで縮小。業績不振の総合スーパー業態からの脱却を目指すダイエーと、衣料品売場の専門店転換をおこなうイオングループの姿勢が、より一層明確に表れたものとなった。
なお、市川ビルはIDPのなかで、最新の防犯・防災設備の導入や、当ビルが築100年以上に亘って営業をおこなうための全面改修・耐震補強も実施しているという。
継続的な改装行ういちかわコルトンプラザ店
ダイエーでは市川店のリニューアルに先駆けて、同じ市川市のショッピングセンター「ニッケコルトンプラザ」の核テナントとして営業している「ダイエーいちかわコルトンプラザ店」も改装を継続的に行っている。
ダイエー旗艦店「ダイエーいちかわコルトンプラザ店」。
ダイエーグループの百貨店「いちかわプランタン」(1988年11月開業)を前身に持つ同店は、2014年11月に同じコルトンプラザ内に出店していた食品スーパー「ピーコックストア」(旧・大丸ピーコック、2009年開店)の売場を吸収する形で、「イオンフードスタイルストア」に業態転換している。
かつてのコルトンプラザでは、ダイエーが一般食品を、大丸ピーコックが高級食材や銘店を扱うという構図が見られたものの、両社がイオン傘下となったため、同じような商品が並ぶようになっていた。
業態転換後は、大丸ピーコック時代のデパ地下スタイルの売場を踏襲し、有機食品や自然由来の食材を集めた「ボタニカルショップ」を展開するなど、百貨店を意識したゾーニングを行った。ピーコックストアの売場を吸収した2階食品売場。
7月28日にはこだわりの健康食品・サプリメントを取扱うアンチエイジング専門店「アエナ」が新規出店し、8月にはヤマト運輸の宅急便が店頭で受け取れる新サービス「PUDOステーション」(宅配便ロッカー)を設置。さらに11月19日にはダイエー内に入居する家電量販店「ノジマ」も改装を遂げるなど、新生ダイエー旗艦店としての立ち位置を明確にしつつある。
ダイエー、「最後の砦」の城東・市川エリアで積極投資
「イオンフードスタイルストアby daiei」は、11月26日にも本八幡駅近くにオープンしたショッピングセンター「イオンタウン市川大和田」の核テナントとして新規出店したばかりだ。
イオンタウンに初出店した「ダイエー市川大和田店」。
ダイエーはかつて47都道府県の全てと中国、ハワイに店舗を構えていたものの、店舗閉鎖とイオングループ入りに伴う旗艦店のイオン譲渡などを経て、東京と大阪周辺の9都府県で営業するローカルスーパーとなってしまった。
ダイエーは相次ぐ「イオン化」で多くの旗艦店を失ったなか、3店舗が立地するなど拠点性の高い市川への積極投資をおこなうこととなった。
江東区に本社を置くダイエーは、市川市に隣接する東京都城東地区(江東区、江戸川区など)にも複数の店舗を有しており、マンション建設が相次ぎ子育て世代が多く、今後も人口増加が見込まれている城東地区~市川周辺において店舗改装などの積極投資を進めているほか、浦安市でも2014年10月にダイエー浦安駅前店を新規出店している。
城東地区では新規出店も行われている(東向島駅前店)。
ダイエーは「関東最後の砦」とも言える城東ドミナントエリアで守りを固めつつ、かつての「日本一の兵」は生き残りを目指すことになる。
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外部リンク:ダイエー市川店
外部リンク:ダイエーいちかわコルトンプラザ店
外部リンク:ダイエー市川大和田店
ニュースリリース: 『ダイエー市川店』リニューアルオープンについて(ダイエー公式サイト)