埼玉県東松山市の「丸広百貨店東松山店」が全館のリニューアルを行い、7月から8月にかけて順次オープンする。
丸広百貨店東松山店。
(全日本デパートメントストアーズ開発機構ウェブサイトより)
出店から62年、地域密着の百貨店
丸広百貨店東松山店は1954年に開店。丸広百貨店(川越市)としては、飯能店(創業店)、川越本店に次ぐ3号店だった。
現在の店舗は1970年10月に開店したもので、地上5階、地下1階建て、売場面積は9,880㎡。
東松山市は北に熊谷市(八木橋百貨店が立地)、南に坂戸市(丸広坂戸店が立地)が隣接しているため、同店の商圏はほぼ東松山市内のみ。店舗前は「まるひろ通り商店街」となっているほど、地域に密着した百貨店である。
「食」強化、高級品から日常までカバー
今回の改装の目玉の1つとなるのが、食品売場の大幅増床。
従来は地階のみであった食品売場を、1階の一部にまで拡大。
地階では対面販売の強化をおこなうほか、日用生活雑貨の売場を4階から移動させるなど、品揃えの充実を図った。さらに、イートインを新設し、館内で購入した食べ物をその場で食べることができるようになった。
もちろん、従来の丸広百貨店各店と同様に、比較的安価な日常的食品の販売も継続するため、スーパーマーケット的な使い方もできる。
1階では新たに銘菓・銘店の売場を新設。全国銘菓のコーナーを設けたほか、「銀座コージーコーナー」、「ヨックモック」などといった銘店も新規導入し、都心百貨店にも負けない品揃えとなっている。食品売場の改装は7月中に終了している。
銘店の新規導入・リニューアルも実施(公式サイトより)。
目玉の丸善書店、8月31日開店
食品以外の売場でも売場の移設・改装が行われ、多くの売場が明るい雰囲気に生まれ変わった。4階より下の階は7月中にリニューアルオープンを迎えている。
また、5階フロアは大規模な改装を実施中で、目玉として8月31日に大型書店の「丸善書店」(丸善ジュンク堂書店、826㎡)が出店する。
なお、5階にあった大型催事場などは4階へと移設されているほか、5階のレストラン「マーガレット」もリニューアルオープンする。
高齢化社会を見据えた対応も-小都市店のモデルになるか
そのほか、今回の改装では永年の懸案であったエレベータの設置を実現。高齢化社会に対応するため、新たにシルバーカートの預かりサービスや、買い物同行(手助け)なども実施。スーパーマーケットとは違う「百貨店ならでは」のきめ細やかなサービスを行うことで、集客に努める。
さらに、トイレの整備・増設や、レストスペースの増加、店内案内の更新(文字の拡大)なども行い、あらゆる世代が買い物しやすい店舗に生まれ変わったという。
大駐車場(400台収容)は従来と変わらず無料となる。
エレベータを新設。
(公式サイトより、明るさなどを補正)
東松山市の人口は9万人ほどで、フルラインの百貨店が立地する都市としては非常に小さい部類に入る。
今回の改装は、中小都市に立地する店舗が多い丸広の今後を、そして中小規模の地方百貨店の将来を見据えた店舗改革の1つのモデルケースとなろう。
※画像は丸広百貨店ウェブサイト、全日本デパートメントストアーズ開発機構ウェブサイトより引用したものです。