名鉄百貨店一宮店、2024年閉店ー名鉄丸栄から55年の歴史に幕、愛知県では名古屋市以外の百貨店消滅へ

愛知県一宮市の名鉄名古屋本線・尾西線名鉄一宮駅、JR東海道本線尾張一宮駅前にある百貨店「名鉄百貨店一宮店」が2024年に閉店する。名鉄百貨店一宮店。

名鉄丸栄百貨店から55年の歴史に幕

名鉄百貨店一宮店(名鉄新一宮ビル)は地下1階、地上7階建て。総売場面積は17,523㎡。地下1階で食料品、地上1階から3階で婦人服、地上5階で紳士服を扱うほか、6階は「一宮中日文化センター」などが入居。7階はレストラン街となっている。レストラン街。

名鉄百貨店一宮店の前身の「名鉄丸栄百貨店」は名鉄一宮線東一宮駅跡に1969年10月開店。一宮市内に百貨店の出店計画があった名鉄百貨店と丸栄が計画を一本化し、両社と地元財界が出資する会社が運営するという方式がとられた。1982年2月に名鉄丸栄百貨店の経営悪化に伴い、名鉄百貨店などが丸栄などから株式を取得、名鉄グループの100%出資となり、「一宮名鉄百貨店」と改称された。2000年11月1日に一宮名鉄百貨店が閉店、運営会社は清算され、跡地は名鉄不動産が手掛ける高層マンションとなった。

事実上の後継となる名鉄百貨店一宮店は2000年11月3日に名鉄新一宮駅ビルの完成に合わせて開業。開店当初は生鮮食品売場や女性向け衣料品売場に注力した。ピーク時の2003年には約111億円の売り上げがあったが、他の商業施設との競争激化や新型コロナウイルスの感染拡大等の影響で2022年の売上高は約59億円と低迷していた。

跡地は商業施設を検討、名古屋以外から百貨店消滅へ

複数の地元メディアによると、名鉄百貨店一宮店は2024年にも閉店する方向という。閉店後は駅ビルの改装等を行い、新たな商業施設の開業を検討している。

また、愛知県内では2018年に「丸栄」(名古屋市)、2020年に「ほの国百貨店」(豊橋市)「西武百貨店岡崎店」(岡崎市)、2021年に「松坂屋豊田店」(豊田市)といった百貨店が閉店しているが、今回の名鉄百貨店一宮店の閉店により、サテライト店を除き愛知県内では名古屋市以外の百貨店は消滅することとなる。松坂屋豊田店の閉店セレモニー。

縮小続く名鉄グループの流通事業

名鉄グループの流通事業は長らく鉄道事業、運輸事業などと共にグループの柱の1つであったが、近年は縮小傾向が続いている。2005年にはスーパー事業を営む「名鉄パレ」をファンドとの合弁の新会社「パレ」に営業譲渡。2008年に「パレ」は同業の「オークワ」傘下となった。名鉄名古屋駅前の百貨店「名鉄百貨店本店」も名古屋駅前の再開発に伴い将来的に閉店することが決定している。名古屋鉄道の高崎社長は2023年4月の全国紙のインタビューで「再開発後に現在のような百貨店という位置づけは難しい。百貨店事業は外商を中心に新しいタイプの商業施設をつくる」と答え、また「不動産・物流・航空の3事業に注力するとしていることから、名鉄グループの流通事業の縮小は今後も続いていくことであろう。オークワ傘下となったパレマルシェ堀田店(現在は閉店)。

関連記事:メイチカ、2023年3月閉店-名古屋駅地下街の1つ、中央新幹線工事に伴う設備更新で

関連記事:ロフト名古屋、2023年6月30日閉店-ナディアパークの核店舗、栄NOVAのロフトに統合

このエントリーをはてなブックマークに追加