関西地盤の大手流通グループ「平和堂」(本社:滋賀県彦根市)は、同社完全子会社の旧百貨店運営会社「ヤナゲン」(本社:岐阜県大垣市)を2025年5月21日を目途に吸収合併する。
2005年に平和堂傘下となった大垣駅前のシンボル
ヤナゲンは1910年3月に「柳源呉服店」として創業、1951年12月に法人化、1961年12月に現在の大垣市高屋町に移転し、1966年に百貨店化した。同社は県内有数の流通グループとして、1970年3月新装開業の百貨店本店「ヤナゲン百貨店」を始め、最盛期にはインテリア専門店「ヤナゲンFAL(旧岐大ホームセンター)」や総合スーパー「ヤナゲンストアー」を展開したが、多角化路線は債務超過の引き金にもなる。
同社は2000年に東海地盤の有力地銀「大垣共立銀行」管理下に移行、2005年5月に関西地盤の大手「平和堂」と事業再生計画の策定をともなう業務提携を締結し、同年7月に新旧分離スキームを用いるかたちで平和堂完全子会社に移行することとなった。
(旧ヤナゲン/ヤナゲンストアー/柳源の3社→新設法人のヤナゲン/ヤナゲンストアー)
ヤナゲン百貨店A館。
2019年8月に百貨店廃業
ヤナゲンは2005年9月の新体制移行を機に本店B館1階(食品フロア)の全面リニューアルを実施。2006年7月には平和堂地域子会社「平和堂東海(旧グランドタマコシ)」にストア事業を統合、2011年には平和堂系総合スーパー「アルプラザ鶴見」にFAL店を統合するなど、平和堂主導により経営再建を図った。
一方、名古屋市内の百貨店に加え、2007年10月には大垣駅北口にユニー系大型商業施設「アクアウォーク大垣」が開業、2016年8月には再開発により本館の売場をA館1館に集約するなど、同社を取り巻く経営環境は芳しくなく、2019年8月に「ヤナゲン大垣本店」を閉店することとなった。
百貨店廃業後は外商再拡大、存続図るも125年の歴史に幕
ヤナゲンは百貨店廃業後、自社不動産の賃貸業に加えて、2020年より外商事業を段階的に再開した。
同社は各種贈答品(中元・歳暮)や家具インテリアの提案営業に加えて店舗近隣での美術系催事を始めるなど存続を図ったが、2024年9月より商品券払戻業務を開始するなど清算に向けた準備が表面化、同年12月23日の平和堂取締役会で「株式会社ヤナゲンを吸収合併することを決議」し、岐阜西濃での125年の歴史に名実ともに幕をおろすこととなった。
関連記事:ヤナゲン百貨店大垣本店、2019年8月31日閉店
関連記事:ドン・キホーテ大垣インター店、2018年7月27日開店-創業者の出身地に初出店、ユニー・ピアゴ浅草店跡に