大手流通グループ「イオングループ」の小売事業会社「イオンリテール」(本社:千葉市美浜区)は、同社完全子会社の食品スーパー運営会社「清水商事(店舗ブランド:清水フードセンター)」(本社:新潟市)を2023年3月1日付で吸収合併することを2022年9月1日に発表した。
2015年にイオン傘下となった新潟老舗食品スーパー
清水商事は1947年10月に新潟市古町で「大和食品マート」として創業。1952年4月には新潟市万代に「大和バスビルストア」「大和バスビル食堂」として移転。1957年8月に日本海側初を謳うセルフサービス方式の食品スーパー「清水フードセンター」1号店を開店した。
同社は1970年7月にショッピングセンター1号店「寺尾ショッピングセンター」を開店するなど店舗を大型化しつつ、1972年7月にはFC1号店(茂太郎店)を開店、1975年6月には米飯大手「佐藤食品工業(現サトウ食品)」と業務提携し「フジミショッピングセンター(後のパワーズフジミ)」を開店、1985年10月に三条市地盤の食品スーパー「フクヤ」を完全子会社化するなど運営形態を多様化。地場大手流通グループとして発展することとなった。
その一方、2008年2月期には競争激化により創業以来初となる最終赤字に転落。赤字転落後は事業会社の再編や不採算店舗の整理、子会社の清算を打ち出したが根本的な解決策とはならず、2015年10月にイオンリテールの子会社となった。
イオンとの提携強化で再建めざしたが
清水商事ではイオンリテールによる子会社化を機に、自社店舗へのイオン系PB商品・サービス「トップバリュ」「WAON」「イオン銀行ATM」導入を開始。あわせて、新潟市外からの直営食品スーパー撤退やFC事業の終了といった合理化を進めた。
イオンスタイルに並ぶ「SHIMIZUの味」。
一方、2016年3月にはイオンリテールが新潟県内で展開する食品スーパー(イオン笹口店/旧パワーズフジミ運営店舗)への惣菜供給を開始し、2019年4月にはイオンリテール北陸信越カンパニーの小商圏対応スーパー1号店「イオンスタイル上所」開店を支援するなど、同社独自の地域密着路線維持をめざした。
経営一本化でさらなる“効率化”へ
イオンリテールによる清水商事の吸収合併は「買物行動の変化や健康意識の高まり、原材料価格高騰など、急激な変化には、さらにスピードを上げて対応していくことが必要であるとの結論」によるもので、両社は「経営体制を一本化することで、イオンリテールが目指す食品とH&BCを中心とした小商圏型フォーマットの出店拡大や清水商事が有する既存資産の活性化、両社の さらなる業務効率化、スケールメリットの最大化を推進する」とコメントしている。
清水商事はイオンリテールとの出資引受契約締結時に「看板の維持」への理解を得たうえで、従来通りの営業体制・営業基盤を維持するとしていたが、同社の法人格は7年ほどで消滅することとなった。清水フードセンターの店舗ブランドは当面維持となるもの、営業年数を経た店舗も多いため、ブランドの廃止を含めた将来的な刷新は避けられないとみられる。
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