大手書店グループ「文教堂グループホールディングス」(神奈川県川崎市高津区、以下「文教堂グループ」)は、アニメ・キャラクターグッズ専門店「アニメガ」事業を、ビックカメラグループの「ソフマップ」に2019年10月31日付で譲渡する。
文教堂アニメガ。
経営再建中の文教堂、アニメガをソフマップに
文教堂グループの中核企業「文教堂」は、1949年12月に神奈川県川崎市の溝の口駅前で「島崎文教堂」として創業。1994年7月の株式上場以降は同業他社の買収やプラモ・模型専門店「文教堂ホビー」(B’s Hobby)への参入など事業多角化を進めたが、2000年代中期ごろネット書店の台頭や同業他社との競争により経営が悪化、2019年6月28日に事業再生ADR手続による私的整理を開始した。
アニメガは2011年9月に1号店となる「アニメガ武蔵境駅前店」を出店。次世代の主力業態として、5年ほどで30店舗体制を構築するに至っていた。
丸善と文教堂ホビー・アニメガが共同出店するコングロM。
しかし、文教堂グループの経営悪化に加えて競合店との差別化が図れなかったこともあり、2019年9月現在は24店舗となっていた。
ソフマップ、アニメガ取得で「サブカル」復権なるか
ソフマップはかつてPCゲームやアニメ、アイドル関連商品などサブカル分野に強い家電量販店であったが、2006年にビックカメラの子会社となって以降は総合家電量販店事業を縮小。2011年からはホビー特化型新業態「アキバ☆ソフマップ」をビックカメラグループ店舗内を中心に出店開始するなど、強みを活かした事業展開を進めた。
家電も扱っていた旧・ソフマップ秋葉原本館(閉店済み)。
一方で、2016年ごろからは「中古商品の買取販売」に経営の軸足を移しつつあり、一部のホビー店を順次デジタル製品併売業態に転換。並行して中古商品専門店業態「Re Collection」の出店開始や類似業態である「あきばU-SHOP」の再取得などをおこなっていた。
アキバ☆ソフマップ1号店・鹿児島中央駅店。(現在は完全閉店)
中古販売に経営の軸足を移しつつあったソフマップだが、2018年12月からは「ソフマップAKIBA」を皮切りに、各店舗に順次「女性向けアニメキャラクター専門フロア」を開設。2019年5月にはコラボカフェ「STELLAMAP CAFE」(ステラマップカフェ)の運営に乗り出すなど、女性を対象とした事業を開始。さらに、2019年8月からは、アニメガ事業取得に先行して通販サービス「アニメガオンライン」の運営を開始しており、再びサブカル関連事業を強化しつつあった。
文教堂グループは今回の経営譲渡に関して「既存のアニメガ店舗及び文教堂書店内アニメガ区画、文教堂JOY内区画は順次株式会社ソフマップ様へ承継され、新「アニメガ」として再出発(一部閉鎖)致します。」とコメントしており、独立のアニメガ大型店(文教堂併設店や文教堂JOY併設店などを除く)では、池袋マルイ店、サンシャインアルタ店、静岡店、三宮店、高松店がソフマップの運営へと引き継がれるとみられる。
高松店が入居する瓦町フラッグ。
かつてのソフマップは男性向けサブカルに強いイメージであったが、女性向け商品にも強みを持つアニメガの取得は「サブカルに強いソフマップ」というブランドイメージをより盤石なものとすることになろう。
外部リンク:ソフマップ広島店、2018年8月26日閉店-関西以西唯一の単独店舗、ビックに移転へ
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