関家具、ルイヴィトン系ファンド「L Catterton」が2025年9月30日までに買収-福岡・大川家具の卸大手、戦略的資本提携締結で

大手家具商社「関家具」(本社:福岡県大川市)は、フランス本拠の世界的ラグジュアリーブランドグループ「LVMH(ルイヴィトンモエ・ヘネシー)」(本社:フランスパリ市)傘下の米国系投資ファンド「L Catterton」(本社:米国コネチカット州)と2025年9月17日付で戦略的資本提携を締結した。
戦略的資本提携に基づき、LVMH系ファンドが関家具株の過半数を2025年9月30日までに取得する。

世界的ラグジュアリー「LVMH」同業買収で多角化

LVMH(本社:パリ)は、1987年9月の高級酒類・香水ブランド「Moët Hennessy」(本社:同上)と高級鞄ブランド「LOUIS VUITTON」(本社:同上)共同出資による経営統合及び持株会社制移行にともない設立。
設立時点でフランス最大手ラグジュアリーとしての地位にあったが、1989年の同国大手金融グループ「Financière Agache」ベルナール・アルノー会長による同社株取得を機に、M&Aによる多角化経営に舵を切った。
以後、アルノー氏がLVMH買収以前より経営権を有していた同業「Dior」をはじめ、伝統的な創業家主導経営だった同業「BVLGARI」「CELINE」「FENDI」「GIVENCHY」「Tiffany & Co.」を傘下に収めることで、世界最大のラグジュアリーブランドグループとしての地位を確立した。

銀座松坂屋や東急本店跡地再開発にも出資、日本事業強化

さらに2016年1月にはアルノー家及びLVMH系金融グループ「Financière Agache」「L Capital」と米国コンシューマー業界特化型ファンド「Catterton Partners」が戦略的統合することで「L Catterton」を設立。日本においても松坂屋銀座店跡地複合再開発施設「GINZA SIX」運営会社への出資東急百貨店本店跡地複合再開発プロジェクト「Shibuya Upper West Project」特定目的会社への出資を進めるなど、百貨店業界を中心に影響力拡大を図っている。

関家具ブランドはLVMH系傘下入り後も維持

関家具は1968年4月に福岡県大川市で関文彦現代表取締役会長により家具卸として創業、1972年11月に法人化した。1975年2月に大型家具インテリア1号店「びっくり市(現関家具大川本店)」を開店したことで、卸売小売を中核とする家具総合商社として業容を拡大。
2025年9月現在は小売事業の旗艦店と位置づける「関家具大川本店」をはじめ、ブランド直営ショップ「CRASH GATE」「ATELIER MOKUBA(アトリエ木馬)」、関家具ショールームを全国展開。
祖業である家具インテリア雑貨店・通販会社への卸売に加え、空間設計事業や自社企画開発ブランドの開発にも取組んでいる。

ATTELIER MOKUBA TENJIN GALLERY.

両社による戦略的資本提携は「革新的な製品開発の継続」「実店舗の拡充」「ECにおける顧客体験の向上」「BtoB領域における顧客基盤の拡大ならびに物流機能の更なる強化」を目的としたもの。
関文彦代表取締役会長は新役職「名誉会長兼名誉創業者」に就任、春田秀樹代表取締役社長は引続き同社グループ3社「関家具」「関家具カーゴ」「関家具本店」代表取締役社長として経営に深く関与するとしている。
また、関家具の社名変更や本社移転はなく、雇用も維持する方針だという。

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