久留米シティプラザ、2016年4月27日開業-井筒屋跡、複合施設に

福岡県久留米市にあった百貨店「久留米井筒屋」跡地に建設が進められていた複合文化施設「久留米シティプラザ」が4月27日にグランドオープンを迎えた。
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久留米シティプラザ。

久留米市中心部の新たなランドマークに

「久留米シティプラザ」は、老朽化した久留米市民会館を移転させる形で建設が進められてきた複合文化施設で、久留米市中心部の井筒屋百貨店跡に建設された。
久留米井筒屋
かつて当地にあった久留米井筒屋。2009年に閉店した。

総工費は約165億円で、中心商店街「サンロード六ツ門商店街」のアーケードに面している。西鉄久留米駅から徒歩約10分、JR久留米駅からは徒歩約15分。両駅からは西鉄バスも頻発運行されている。P1050563-1
六ツ門商店街側から見た同施設。くるめりあより撮影。

館内には大劇場・音楽ホール「ザ・グランドホール」(最大1514席)、中劇場「久留米座」(最大399席)、マルチスペース「Cボックス」(最大144席)、スタジオ、会議室などに加えて、かつてこの地にあったイベント広場「六角堂広場」も全天候型に生まれ変わって復活している。
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グランドホール(1,514席)

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久留米座(399席)

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Cボックス(144席)

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六角堂広場。

そのほか、館内にはアートユニットtupera tuperaが内装をプロデュースした交流ゾーン「カタチの森」が開設されたほか、六ツ門交差点側にはミニ庭園「六ツ門テラス」を設置。
六ツ門バス停前のエントランスには、九州朝日放送の創業の地であることを記念したラジオマイクが展示されている。
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交流ゾーン「カタチの森」。

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六ツ門テラス。

テナントゾーンには10店舗が出店

久留米シティプラザの六ツ門バス停前や商店街に面した部分には商業スペースも設置されており、ローソンと溝上薬局の複合店舗「ローソンMIZ」、地元企業であるムーンスター(月星靴)のギャラリー型店舗「MOONSTAR Concept Gallery」、梅の花系列の和牛鉄板焼き店「六角庵」など地元店舗を中心とした飲食店6店舗、生花店、保険店など、合わせて10店舗が出店する。六ツ門~一番街商店街ではコンビニが全て撤退しており、当施設内の「ローソンMIZ」が唯一のコンビニエンスストアとなる。
なお、地階には駐車場が設置されているが、駐車可能台数は114台と小規模であるため、イベント時の車での来館の際には隣接するショッピングセンター「くるめりあ六ツ門」(旧ダイエー六ツ門店)など、他施設の駐車場を利用すると良いであろう。
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六ツ門商店街側より。テナントゾーンとなっている。

なお、当シティプラザのオープンにより、名建築として親しまれてきた「久留米市民会館」は2016年度中に解体される予定となっている。

「久留米シティプラザ」テナント一覧
  • ローソンMIZ(コンビニ+薬局、溝上薬局)
  • ANNE(レディスファッション)
  • MOONSTAR Concept Gallery(シューズ)
  • 銀のスプーン(洋菓子・カフェ)
  • 六角庵(和牛鉄板焼、梅の花が運営)閉店
  • アメニータ(ハンバーガー)
  • 満天(和食)
  • ア・デイ・ルナ・キアラ(バー)
  • GARAJU(生花店+カフェ)
  • かふぇ(日替わりカフェ)
  • ほけんの窓口(保険)
  • Dreams FM(ラジオ局サテライトスタジオ)
目指す広域集客、遠い道のり

これまで長年「大きなイベントなら福岡市に行く」という習慣だった久留米市。
久留米シティプラザは「ないものがあるところ」をキャッチフレーズに、「久留米市外、福岡市などからも広域集客できるような施設」を目指していたはずである。
しかし、現在発表されている公演で、福岡都市圏から客を呼べそうなものは今のところ10月の「ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団公演」、12月の「ミス・サイゴン」など数えるほどしかなく、しかもグランドオープンからかなり先に開催されるものばかりだ。
テープカットこそ地元出身の田中麗奈さん、藤井フミヤさん、中野浩一さんらを招いて華々しく挙行されたものの、その後のオープニングイベントは市民参加型のものが多く、それだけでは広域集客は期待できないばかりか、市外の人に対してシティプラザを認知してもらうことができないのではないだろうか。せっかくいいホールが出来たにも関わらず、オープニング直後の4~5月中は「グランドホール」「久留米座」ともに殆どの日で「利用予定なし」となっているのも気になるところだ。
また、広域集客を目指したにもかかわらず、久留米の土産品、特産品などをPR・販売する店舗が入居しなかったことも残念である。
(商店街内では近隣に饅頭店があるものの、土産品店などはない。)
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久留米シティプラザ開館告知ポスター。

未完成のウェブサイト

さらに、久留米シティプラザの決定的な欠点は「ウェブサイト」である。2016年5月現在、「久留米シティプラザ」のウェブサイトは開館前の「開館準備サイト」のまま。例えば「駐車場はどこだろう?」と思って「アクセス」をクリックすると、市外からの公共交通アクセスのみが書かれており、駐車場の情報は全く掲載されていない。
そして「館内のフロアガイドを見たい」「イベント予定が見たい」と思っても、ウェブサイトの何処にあるのかすらよく分からない。
(5月現在、イベントスケジュールはPDFで5月のイベント一覧表が掲載されているのみである。フロアガイドや館内案内の類は掲載されていない。)

このように、久留米シティプラザのウェブサイトは来館したい人が見たいであろう情報が全く掲載されていなかったり、そこまでたどり着くのが困難なページが非常に多いのだ。
また当施設は「中心商店街の活性化」を謳っているにも関わらず、ウェブサイトには商店街の情報が全く掲載されておらず、商店街や周辺観光施設へのリンクが貼られていないことも残念なことである。
広域のお客さまを気持ちよく招き入れるためには、ウェブサイトの充実は最低限の必須条件だ。早急に分かりやすいウェブサイトを作り、積極的に情報発信を行い、市民が気軽に来館したくなるようなコンテンツを提供していくことができれば、それが市民がシティプラザに対して親しみを持つための、そして市外に対する施設の認知度向上の第一歩にもなるであろう。
※一部の画像は久留米市ウェブサイトより。

追記:5月末に公式ウェブサイトが開設された(下記外部リンク)

外部リンク:久留米シティプラザ
外部リンク:久留米シティプラザ(久留米市)
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