星野リゾート、日本政策投資銀と新たな宿泊業支援ファンド設立-141億円規模、耐震課題の施設など支援

温泉リゾートホテル・旅館大手の「星野リゾート」(長野県軽井沢町)は、日本政策投資銀行と共同で宿泊業支援のための新たなファンドを7月31日に設立した。

星野リゾート・星のや東京(千代田区)。

「星野リゾート」主導、全国の宿泊施設を支援

今回立ち上げたファンドは総額141億円もの規模で、ファンドの運用期間は10年間。大手都市銀行なども出資する。
星野リゾートと日本政策投資銀行は2015年にも同様のファンドを立ち上げていたが、総額20億円規模であり、資金が足りないために新たなファンドの立ち上げに至ったという。

星野リゾートが買収した花菱ホテル(別府市)。
ホテルの売却理由は「耐震化資金の確保」であった。

耐震化すすめる宿泊施設、次々と「大手傘下」に

東日本大震災を受けて2013年に施行された「改正耐震改修促進法」では、建物の早期耐震化を促すため、自治体が1981年以前の旧耐震基準で建てられた大規模建築物の耐震診断結果と耐震化計画をまとめて公表することが義務付けられており、2016年からは各自治体で結果の公表がおこなわれている。
そのため全国の宿泊施設では耐震補強の動きが活発化しているが、こうした宿泊施設の耐震化においては、できるだけ客室窓からの展望を損なわずに耐震補強をおこなう必要があり、公共施設などで良く見られるような「窓を小さくする」「窓に筋交いを入れる」といった標準的な耐震化工事よりも費用が高額になってしまうことが多い。ましてや、全館を休業しての耐震補強ともなると、休館中は収入がゼロになることは避けられず、体力的に厳しいと感じる企業が多くあった。
近年、星野リゾートでは、そうした全国各地の老朽化した観光宿泊施設をグループに取り込み、耐震改修とともに施設の全面刷新をおこない、全体の魅力を高めた上で営業再開させることにより営業規模の拡大を図っている。
大江戸温泉物語(江東区)なども同様に老朽化した観光宿泊施設を買収する動きを見せており、こうした大手ホテルチェーンや投資ファンドによる中小資本のホテルの買収・グループ化や経営支援の動きは今後も続くものと思われる。

外部リンク:星野リゾートと㈱日本政策投資銀行による 共同運営ファンド組成について -支援対象・規模を拡充、2号ファンドの組成で合意-(ニュースリリース)
関連記事:インターコンチネンタルホテル、別府に進出へ-2019年目途に

このエントリーをはてなブックマークに追加