カテゴリー別アーカイブ: 都商研ニュース

津センターパレス、2021年3月から新テナント募集-旧ダイエー、都ホテルの2月28日閉館を受けて当面「イベント活用」に

三重県津市大門の複合商業施設「津センターパレス」の近鉄系シティホテル「都シティ津」が、2021年2月28日をもって閉館する。これによりビルは殆どが空き店舗となるため、近く新たなテナント募集に乗り出すという。

「ダイエー」「都ホテル」核の複合施設として開業

津センターパレスは、1985年4月に旧・津市庁舎跡地再開発の一環として開業。建物は地上9階建地下1階建、延床面積は24,202㎡。
開業初期は、ダイエー(当時)の衣料スーパー「ダイエー津センターパレス店」を核に、市内に本社を置く食品スーパー「マルヤスフーズパビリオンパレス店」、ダイエー系ハンバーガー店「ドムドム」などが出店。都ホテルや地場大手企業のオフィスを併設していたこともあり、県庁所在地の中核施設としての役割を担った。

津センターパレス・都シティ津。

しかし、1994年2月に津駅近くの津ショッピングセンターエル(現・イオン津店)が増床リニューアルを実施するなど競争が激化。1995年1月の阪神大震災では直接被害を受けなかったもの、同年2月にダイエーが閉店する遠因となった。
ダイエー閉店後は1階に商業フロアを集約、地階・2~4階を公共施設や三重交通グループの本社事務所に転換したが、2019年にスーパー「マルヤス」とドラッグストア「ウエルシア」が相次ぎ閉店、商業施設としての機能をほぼ失った。

三重県有数のシティホテル、35年の歴史に幕

都シティ津は、1985年4月に近鉄系直営(津都ホテル→近鉄ホテルシステムズ)のシティホテル「津都ホテル」として開業。2003年2月には近鉄グループやビル運営会社など出資の津センターが経営、近鉄グループが運営受託する現在の運営形態に移行。2019年4月には近鉄・都ホテルズ宿泊施設ブランド再編によって現在の施設名に改称した。延床面積は6,487㎡。
県内を代表するシティホテルとして、83室の客室に加えてレストランやバンケットルー)、結婚式場(チャペル・神殿)を完備したが、コロナ禍の拡大を受けて2020年3月から朝食ブッフェを中止、4月からは宴会場や和食店を臨時休業。7月22日からはGoToトラベルが始まったもの、9月1日をもって全館営業休止となっていた。
都シティ津を運営受託する近鉄・都ホテルズは、撤退に際して「経営会社である、株式会社津センターとの協議により、当ホテルの運営受託契約の終了が決定いたしましたため」とコメント。35年の歴史に幕をおろすこととなった。

出店者募集、当面はイベント会場として活用

都シティ津は、かねてから津の「市街地空洞化の影響(ホテルの発表による)」もあり業績が振るわず、2014年度からの黒字転換も外国人観光客の増加によるものだった。しかし、コロナ禍で累積損失が1億円台から3億円近い水準に悪化、2020年9月に全館営業休止を余儀なくされた。
津市と津センターパレスは、2021年3月1日からホテル部分(客室・レストラン・宴会場)、商業テナント部分(スーパー・ドラッグストア)の入居者募集を開始。ホテル客室とレストラン・宴会場に関しては、“分割を含めた活用”も視野に入れるという。
また、4月1日からは市内飲食店応援事業「津がんばる事業者応援プロジェクト」を拡大するかたちで、都シティ津のレストラン・宴会場跡を活用したチャレンジショップ・フードコート・コンベンションなどを期間限定で開催。市とセンターパレスが一体となって再生をめざすこととなった。

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夕張リゾート、2021年2月破産手続開始-マウントレースイ・ホテルシューパロなど「夕張観光の要」、新型コロナで廃業

2020年12月に廃業し、破産申請をおこなっていた北海道夕張市の旧JR夕張駅周辺にある大型複合リゾート施設運営「夕張リゾート」の破産手続きが、2021年2月1日に開始決定された。

夕張リゾート(公式サイトより)。

中国資本が買収、インバウンド誘致に力を入れていた

夕張リゾートを構成していた各施設は、近隣で炭鉱を経営していた大和鉱業によって冷水山の麓に1980年代から順次開業。その後、1988年に松下電器(現:パナソニック)傘下の「松下興産」が買収、バブル景気によってさらに整備が進み、1990年にはJR夕張駅(2019年廃線)がホテルマウントレースイ前に移転した。
しかし、バブル崩壊後の経営難から2002年に夕張市が主体の第三セクター「夕張観光開発」の運営となり、2007年に夕張市が財政破綻したのちは加森観光(札幌市)に経営委託された。
2017年には、中国系企業「元大リアルエステート」に売却、さらに2019年には香港ファンド「グレートトレンド」の所有となったが、以前と変わらず運営は続けられており、レストランでは夕張メロンなどの名物を食べることもできるとあって国内外の多くの観光客に親しまれた。

マウントレースイスキー場(公式サイトより)。

夕張リゾートは、2019年時点は夕張市内でスキー場「マウントレースイスキー場」、宿泊施設「ホテルマウントレースイ」、「ホテルシューパロ」、「合宿の宿ひまわり」などを運営。中国資本となって以降はインバウンド客の取り込みに力を入れており、近年はアジア系の外国人観光客からも大きな人気を集めていた。
また、夏は避暑地としても人気で、スキー場では夜景観賞ゴンドラの運行もおこなっていた。

位置図・スキー場案内図(公式サイトより)。

しかし、2020年の新型コロナウイルス感染拡大により経営環境が一気に悪化したとみられ、2020年春から一部休業。夕張メロン食べ放題ランチ等の企画をおこなっていたものの、2020年12月上旬にスキー場の営業再開延期を発表、12月24日に閉館・廃業、破産申請するに至った。負債総額は約5億円。
夕張市の「産業構造転換の象徴」は、炭鉱閉山から30年で幕を下ろすこととなった。
今後は土地や建物の売却などがおこなわれるとみられるが、コロナ禍での経営破綻ということもあり、先行きは不透明なものとなっている。

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ゆめタウン松永、2021年3月21日閉店-「福山競馬」名残りの場外馬券場も閉鎖

広島県福山市のJR山陽本線松永駅近くにあるイズミのショッピングセンター「ゆめタウン松永」が、2021年3月21日をもって閉店する。

ゆめタウン松永。

旧・松永市内で最大のショッピングセンターだった

ゆめタウン松永は1991年3月に開業。建物は地上4階建で、店舗面積は約10,795㎡、村上絹錦が所有する。
2021年現在はイズミ直営の総合スーパーを核に、地場大手眼鏡店「メガネの田中」、地場カメラ・写真現像店「フォトランドトクナガ」、地場玩具店「おもちゃのピエロ」、100円ショップ「ダイソー」、ハンバーガーショップ「マクドナルド」、ゲームコーナー「アミューズメントパークMG」など専門店18店舗が入居している。

ゆめタウン松永の館内。

ゆめタウン松永が開業して以降、1992年には松永に隣接する尾道市東尾道に同店より大きな「フジグラン尾道」が開業したほか、松永駅北側の国道2号線沿いにはホームセンターユーホーや大黒天物産ラ・ムーが開店、ニチエーさんらいずショッピングセンターが増床リニューアルを実施。松永駅南側にはハローズやナフコ、鮮Do!エブリイ(業務スーパー併設)が開店するなど、松永駅~東尾道周辺では大型店の進出が顕著となった。
一方で、ゆめタウンは国道2号線バイパスから遠いため、商圏はかなり狭かったと思われる。

場外馬券場は「3月21日撤退」を先行発表

ゆめタウン松永では2004年の大規模リニューアルにあわせて、同年11月に福山競馬場運営の場外馬券場「シャトル柳津」を導入。2013年3月の福山競馬場廃止後も、同年6月に兵庫県競馬組合(園田・姫路競馬場)が施設の一部を引き継ぐかたちで新たな場外馬券場「DASH柳津」を開業させており、2階の核テナントとなっていた。
しかし、兵庫県競馬組合は2021年1月15日に“諸般の事情”を理由に3月21日付での撤退を発表。
さらに、店舗の近隣では家電量販店(エディオン)やゲームセンター(MG福山/旧・ナムコプリッズ)が相次ぎ閉店したこともあり、ゆめタウン松永の今後を危惧する声があった。

ゆめタウン「初の閉店」-跡地の活用方法は未定

ゆめタウン松永を運営するイズミは「今後は近隣のゆめタウン福山・ゆめタウン蔵王へのご愛顧を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます」とコメントしており、2021年2月現時点では施設の跡地活用は未定であり、松永地区への再出店するかどうかなどについても明らかにしていない。
イズミは同社が開発・運営する「ゆめタウン」業態の商業施設では、ニコニコドーからの譲受店舗(大村・鳥栖)、居抜き店舗(小野田)を除けば完全閉店したことがなかった。
1999年11月に開業したゆめタウン宗像(現・ビバモール赤間)もLIXILビバに施設を譲渡した一方、直営食品売場は引続き「ゆめマート」として営業しているため、ゆめタウン松永の閉店は「プロパーのゆめタウンとしては初の完全閉店」となる見込み。
(写真協力:全国スーパーめぐりさん/だいにち別館さん

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ワールド、「ピンクアドベ」など12ブランドを2022年3月期までに廃止・閉店-新型コロナで収益悪化、2020年夏の発表分と合わせて

アパレル大手の「ワールド」(本社:兵庫県神戸市中央区)は、2022年3月期中にグループ内の7ブランドを終了させ、それらを含む450店舗(全店舗の約2割)を閉店させることを2022年2月3日に発表した。
廃止されるブランドは、2020年8月の発表分を合わせて12ブランドにも上る。

5ブランド廃止を発表していたワールド、更に合理化

2022年3月期中までに終了するブランドは「ジェット(JET)」「スーナウーナ(SunaUna)」「エアパペル(AIRPAPEL)」「スマートピンク(smart pink)」「モディファイ(Modify)」「ピンクアドベ(pink adobe)」など7ブランド。これらは、2022年3月期中に撤退する計画の450店舗のうち104店舗にあたる。さらに、子会社で希望退職者を100人募集する。

ピンクアドベの店舗(ニュースリリースより)。

ワールドは、新型コロナウイルスの感染拡大による収益悪化により、2020年8月には2021年3月期中に「ハッシュアッシュ(HusHusH)」「サンカンシオン(3can4on)」「アクアガール(aquagirl)」「オゾック(OZOC)」など5ブランドを廃止、継続ブランドも含めて合計358店舗を退店し、希望退職者200人を募集することを発表していたが、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらないため「悲観的なシナリオにおいても耐えうるコスト構造の追求」が必要になったとしている。

廃止となった3can4on。

今後は、主力業態であるファミリー「シューラルー(SHOO・LA・RUE)」、レディス「グローブ(grove)」、メンズ「TAKEO KIKUCHI/SHOP TK」、都市型コスメ・雑貨店「イッツデモ(ITS’DEMO)」、雑貨店「one’s terrace」、ローティーン「ピンクラテ」などに経営資源を集中するものと思われる。

主力ブランドの殆どは継続する(ITS’DEMO)。

終了・閉店を発表した12ブランドは、百貨店・ショッピングセンター・スーパーなど様々な業態の店舗に出店しており、特に地方の店舗では大きな影響がありそうだ。

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無印良品 酒田、2021年2月5日開店-庄内地方初出店、行政と手を組み商店街にポップアップストア

山形県酒田市中町のマリーン5清水屋百貨店向かいに、良品計画(東京都豊島区)の生活雑貨店「無印良品 酒田POP-UP STORE」が2021年2月5日に開店する。

無印良品 酒田POP-UP STORE。

無印良品、庄内地方初の実店舗は「商店街」

無印良品 酒田POP-UP STOREは、酒田市中心部の中町商店街にある中町丸高ビル1階のチャレンジショップ跡に出店するもので、売場面積は一般的な無印良品よりも狭い158.98㎡。
山形県では無印良品は山形市にしか出店しておらず、庄内地方にはショッピングセンターを含めて店舗が全く立地していなかった。
そこで、良品計画と酒田市は2019年7月に「地域発展を目指すパートナーシップ協定」を締結。それ以降、廃校跡を活用した酒田市日向コミュニティセンターの無印良品コラボカフェ「日向里かふぇ(にっこりかふぇ)」「無印良品くらしラボ酒田」(カフェは新型コロナ感染拡大により2020年11月以降休業中)の開設に協力、無印良品移動販売車による無印良品商品の販売を実施しているほか、地域住民や自治体職員・酒田市長も関与する社員研修(暮らしの編集学校)を行ってきた。
今回のポップアップストア酒田店は規模は小さいながらも地域で初の無印良品実店舗として、トルトカレーや掃除用品、天然素材を使用したインナーウェアなど、“くらしの基本アイテム”を中心に展開する。良品計画は「商いを通して人と人とのつながりを創出すること、地域の皆さまのくらしの役に立つことを目指す」としている。

清水屋と中町丸高ビル。

酒田市民からは期待を寄せる声があった一方で「小さい店だから期待していない」「わざわざ無印のために中町行く気にならない」との声もあるといい、中心商店街でどれだけの存在感を出すことができるのか、注目が集まる。

無印良品 酒田POP-UP STORE

住所:山形県酒田市中町2丁目4番10号 中町丸高ビル1階
営業時間:午前10時~午後7時

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イオンタウン川之江、2021年秋リニューアル開業-イオン初「フジ」核のショッピングセンター

愛媛県四国中央市の三島川之江インターチェンジ近く、国道11号線(川之江三島バイパス)沿いにあるイオンタウンのショッピングセンター「イオンタウン川之江」が、店舗の建て替え工事をおこない、2021年秋にリニューアル開業する。

イオンタウン川之江。

開業20年「イオン建替え」で大部分が休業していた

イオンタウン川之江は、1999年11月に「イオン」と「大和ハウス」の合弁会社「ロック開発」による「ジャスコ川之江ショッピングセンター」として開業。建物は4棟、店舗面積は18,693㎡。
当時はロック開発で初となる総合スーパー核の施設であり、同社他店のショッピングセンター名「ロック(Land Owner Company)」ではなく核店舗の「ジャスコ」名を冠していたが、2011年3月のイオンの総合スーパー事業再編にあわせて「イオン川之江ショッピングセンター」に改称、さらに同年9月の運営会社名の変更によって現在の施設名へと改称した。
イオンタウンへの改称後は、総合スーパー棟「イオン川之江店」に大型専門店(ニトリ・スポーツアルペン)を導入したが、2019年2月には「より豊かな食生活をサポートし、地域の皆さまが集い、語らいがうまれる場」として核店舗「イオン」の閉店をともなうリニューアルを発表。同年9月には、建替えのためイオンなどが閉店した。
2021年1月現在は、別棟の靴量販店「ABC-MART」、眼鏡店「眼鏡市場」、100円ショップ「ダイソー」、ファミリーレストラン「ジョイフル」、東京都福生市発祥のお好み焼き店「道とん堀」の5店舗が営業を継続している。

建替えを機に減床し「フジ」を核店舗に

イオンタウン川之江の建物は平屋建、敷地面積は約51,175㎡、総賃貸面積は約11,162㎡、延床面積は約12,834㎡。
イオンと資本業務提携関係にある地場大手スーパー「フジ」を核に、ドラッグストアや飲食店など18店舗が出店する。フジのイオングループ系商業施設への出店は、2018年10月の資本業務提携締結以来初となる見込み。
新施設の半径1km圏内には以前よりフジのショッピングセンター「フジグラン川之江」(1994年9月開業)が出店しているが、イオンは新・イオンタウンについて「地域の日々のくらしに寄り添う施設を目指す」としている。

イオンタウン川之江

住所:愛媛県四国中央市妻鳥町1795-1

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世界貿易センタービル展望台、2021年1月31日閉館-浜松町のランドマーク、建替えで2021年度中に解体へ

東京都港区の浜松町駅・大門駅前にある「世界貿易センタービル」40階にある展望施設「世界貿易センタービルディング展望台シーサイドトップ」が、再開発によるビル解体のため2021年1月31日に閉鎖された。

世界貿易センタービル。

湾岸を一望できる展望台、建替えで半世紀の歴史に幕

世界貿易センタービルは1970年に完成した高さ152メートルの超高層ビル。当時は日本一の高さであった。
40階の展望台「シーサイドトップ」は東京湾岸や東京タワー、富士山が一望できることで人気を集め、直結する東京モノレール浜松町駅や館内の浜松町バスターミナルなどを利用する観光客などからも親しまれていた。また、展望台の一部は結婚式場としても活用されていた。

40階「シーサイドトップ」からの眺め。南側・品川方面。


40階「シーサイドトップ」からの眺め。東側・臨海方面。

展望台の閉鎖は、世界貿易センタービル建て替え工事のため。
世界貿易センタービルは1970年に建てられたもので、老朽化が進んでいた。そのため「浜松町二丁目4地区再開発」計画が始動、2021年度中に建て替えに向けた解体工事が開始される計画となっている。
館内のテナントはすでに殆どが撤退しているほか、別館1階にあったバスセンター「浜松町バスターミナル」も2020年9月30日に閉鎖に。
ビル内会議室の貸し出しについても、2020年12月末で終了している。

浜松町バスターミナルの案内所。
(はとバス、京急高速バス、JTBサンライズツアー)

世界貿易センタービル南館、3月竣工-本館は解体へ

世界貿易センタービルでは、本館の建て替え工事に先行して南館の建設が進められている。また、2017年11月には隣接する再開発地区への「日本生命浜松町クレアタワー」の建設により展望台から富士山が見えなくなっていた。
世界貿易センタービルディング南館」は高さ約200mで、2021年3月に竣工。それと入れ替わるかたちで本館の解体工事が開始されるものとみられる。

40階「シーサイドトップ」からの眺め。西側。
「日本生命浜松町クレアタワー」と東京タワーが見える。

新たな世界貿易センタービルは39階建て、高さ約200mの超高層ビルとなる計画で、2025年12月に完成予定。浜松町駅に直結する低層の別館は2027年12月に完成予定で、これをもって世界貿易センタービルの建て替え工事は全て終了する。
新ビルも現在と同様に主にオフィスとなる計画であるが、展望台は設けられない予定となっている。

「世界貿易センタービル」建て替え後の完成予想図(JR東日本リリースより)。

なお、世界貿易センタービルの西側隣接地には先述した「日本生命浜松町クレアタワー」(地上29階建て、高さ156m)が2018年8月に竣工したほか、その南側の都交通局庁舎跡周辺では 「浜松町二丁目地区第一種市街地再開発事業」が進められており、2026年9月に地上46階建て・高さ186mの超高層ビルが完成する計画となっている。

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DONDONDONKI アイランドリゾートモール店、2021年2月4日開店-ドンキ、イオン・百佳が出店する香港島有数の複合施設に

香港・香港島東区小西灣の複合商業施設「藍灣半島(Island Resort)」に、パン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH、ドンキ)のディスカウントストア「DONDONDONKI アイランドリゾートモール店」が2021年2月4日午前10時(香港時間)に開店する。

DONDONDONKI アイランドリゾートモール店。

香港島有数の商業複合高層タワーマンション「藍灣廣場」

藍灣半島(Island Resort)は2001年4月に開業。建物は地上62階建、低層商業フロア「藍灣廣場(Island Resort Mall)」は3層(UGF/GF/1F)。香港大手不動産ディベロッパーの信和集団(SINO GROUP)が管理・運営を担う。

アイランドリゾートモール。

UGFには、CEC国際傘下の香港大手日本食品店「759阿信屋(おしん屋)」や牛奶國際(Dairy Farm International/デイリーファーム)傘下のコスメ店「萬寧(mannings)」とコンビニ「7-Eleven(セブンイレブン)」など40近いテナントが出店。
GFには、米国系飲食チェーン「McDonald(マクドナルド)」「STARBUCKS(スターバックス)」「KFC(ケンタッキーフライドチキン)」や日系回転寿司チェーン「元気寿司」、カナダ系のコンビニ「OK便利店(サークルK/Circle-K)」、公文式教室「くもんアイランドリゾート教育センター」など20近いテナントが出店。
1Fには長江和記(CK Hutchison)グループの食品スーパー「百佳(PARKnSHOP)」やイオンストアーズ香港(ダイソー)の12ドルショップ「AEON LIVING PLAZA(イオンリビングプラザ)」、香港大手日本産品専門店「JHC日本城」、大型屋内アミューズメント施設・ゲームセンター「美國冒險樂園(JUMPIN GYM U.S.A.)」といったテナントが出店する。

“日本の四季”を感じられる店舗として内食・中食を強化

DONDONDONKI アイランドリゾートモール店は、低層商業フロアの3層部分に出店するもので、売場面積は1,884㎡。ドンキとしては香港7店舗目。香港現地法人のパン・パシフィック・リテールマネジメント(香港)が運営を担う。

DONDONDONKI アイランドリゾートモール店。

アイランドリゾートモール店では、店舗コンセプトに「春夏秋冬」を掲げ、ファミリー世帯が多く居住する立地特性を活かし、日本産品の生鮮食品(青果・鮮魚・精肉・惣菜)や酒、化粧品、雑貨品、スポーツ用品、玩具・バラエティ、ペット用品など幅広く展開。
惣菜部門では、自宅で手巻き寿司を作ることができる手巻き寿司セットのコーナーやトッピングを自由に選べるかつ丼・牛丼のインショップを設けるなど、内食・中食需要の高まりに対応。日本の四季を感じながらお買い物を楽しんでいただけるアミューズメント性に溢れた空間を創造するとしている。

日本ブランド専門店の激戦区に

藍灣廣場(Island Resort Mall)では以前より、生鮮食品スーパーの百佳に加え、759阿信屋(おしんや)やJHC日本城、イオンリビングプラザがそれぞれ日本ブランドの食品や雑貨・生活用品・小型家電を取扱ってきた。
今回、施設の新たな核店舗としてドンキが進出することで、藍灣廣場は地域有数の日本ブランド専門店激戦区になるとみられる。

DONDONDONKI アイランドリゾートモール店

住所:香港 小西灣28號藍灣半島商場1樓
adress:Shop 102 & 108, 1st floor, Island Resort Mall, 28 Siu Sai Wan Road, Siu Sai Wan,Hong Kong
営業時間:午前9時~翌午前1時

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マルショク豊前店、2021年1月31日閉店-JR宇島駅前の核店舗、62年の歴史に幕

福岡県豊前市のJR宇島駅近くにあるサンリブ(本社:福岡県北九州市)の総合スーパー「マルショク豊前店」が2021年1月31日をもって閉店した。

マルショク豊前店。

宇島駅前のマルショク、62年の歴史に幕

マルショク豊前店は1958年8月に開店。建物は地上3階、営業フロアは1~2階、売場面積は2,500㎡。
閉店時点では直営総合スーパーを核に、惣菜店「東洋食品」、ジャスト大分の100円均一コーナー、「みちや薬局」といった専門店が出店。徒歩圏にあった寿屋キッド豊前店が2002年に閉店したのちは、宇島駅前唯一の大型スーパーとして親しまれていた。

マルショク行橋店。

マルショク豊前店は過去に建替え・移転を実施しているものの、マルショクの現役店舗としては流川通り店(旧・流川店、建替え済み)や行橋店(建替え済み)に匹敵する“老舗”だった。
なお、サンリブグループのうち、マルショク豊前店を含む行橋市・京都郡(一部)の店舗は、グループ会社の「マルショク」(本社:大分市/旧・中津丸食)が運営しているため、2014年冬までサンリブの自社カード(くらしらくカード、masacaなど)が利用できないなど近隣のサンリブ運営店舗とサービスが異なっていたが、サンリブ・マルショクが2017年に経営統合されたため、ようやく県内他店と同一運営となっている。
サンリブは旧マルショク運営店舗の整理を進めており、マルショク行橋店についても近く閉店する方針を示している。

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井筒屋大牟田店、2021年1月31日閉店-旧店から51年の歴史に幕

福岡県大牟田市のショッピングセンター(総合スーパー)「ゆめタウン大牟田」本館1階にある百貨店「井筒屋大牟田店(井筒屋大牟田ショップ)」が、2021年1月31日に閉店する。

井筒屋大牟田ショップ。

新栄町の歴史を見た大牟田の井筒屋、51年の歴史に幕

井筒屋大牟田店は久留米井筒屋が運営する「久留米井筒屋大牟田店」として1970年10月に開業。当初は西鉄新栄町駅前に単独出店しており、店舗面積は11,271㎡だった。当時、新栄町地区は大牟田市の副都心として再開発されたばかりであり、新栄町駅も1970年4月に新設されたものであった(代替として栄町駅は廃止)。
しかし、三池炭鉱の閉山による人口流出、それに伴う新栄町地区の衰退もあり、旧店は2000年12月に閉店。徒歩圏の三井三池製作所精練所跡に2000年10月に開業した「ゆめタウン大牟田」1階に店舗面積を縮小して移転し「井筒屋大牟田ショップ」となった。

ゆめタウン大牟田。新栄町駅近くに立地する。

その後、旧大牟田店は2002年に井筒屋子会社のディスカウントストア「毎日バーゲン堂」となったが数ヶ月で閉店、解体された。

久留米井筒屋大牟田店の跡地。


ゆめタウン大牟田前の商店街。近年アーケードが撤去された。

現在の井筒屋大牟田ショップは、規模は小さいながらも婦人服、化粧品、銘菓、ギフトなどを販売。2009年には運営する久留米井筒屋が閉店し、筑後店などの小型店は閉店されたものの、大牟田店は井筒屋本体の運営へと移管され、営業を続けていた。

2009年に閉店した久留米井筒屋。約40年間大牟田店を運営した。

井筒屋は近年は小型店舗を増やしつつある一方で、大牟田店は2021年時点は井筒屋にとって筑後地方唯一の店舗となっており、飛び地であることも閉店の一因になったと思われる。
井筒屋大牟田店の閉店により、大牟田市内からは百貨店が消滅する。
大牟田市から最寄りの百貨店は、荒尾シティモール・ゆめタウンあらお(旧ニコニコドー)の準核店舗である「鶴屋百貨店荒尾店」となる。

鶴屋百貨店荒尾店。

井筒屋はゆめタウン大牟田1階のなかで(運営するイズミ・ゆめタウンに次いで)最も面積の広いテナントであるが、同店の跡地については1月時点では発表されていない。

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