カテゴリー別アーカイブ: 都商研ニュース

業務スーパーインターパーク店、2024年4月7日閉店-カトレアガーデン宇都宮南の食品核、他専門店も大半が5月までに撤退

栃木県宇都宮市の宇都宮上三川インターチェンジ近くで地場大手ホームセンター「カンセキ」(本社:宇都宮市)が展開する神戸物産系食品ディスカウントストア「業務スーパーインターパーク店」が2024年4月7日をもって閉店する。

地場大手ホームセンターのカンセキが運営していた

カンセキは1975年2月に「服部」として設立、同年4月にホームセンター1号店「カンセキ宇都宮西店」を開店し、1976年12月に現社名に変更した。
同社は1984年4月にアウトドアライフ専門店1号店「WILD-1宇都宮駅東店」を開店し同業態の全国展開を開始。2024年3月現在は両業態をそれぞれ25店舗ずつ展開、神戸物産との提携による業務スーパーを19店舗展開している。

カトレアガーデンの食品核として22年4月に開店したが

業務スーパーインターパーク店は2022年4月1日に開店。売場面積は約498㎡、延床面積は約671㎡。カンセキ運営店舗としては栃木県内17店舗目、宇都宮市5店舗目だった。
同店舗は2020年4月に閉店したカジュアル衣料店「マックハウス宇都宮インターパーク店」跡への出店であり、大和ハウス系商業施設「アクロスプラザカトレアガーデン宇都宮南」の食品核としての役割を担っていた。

業務スーパーインターパーク店。(同社公式より)

専門店撤退相次いでいたカトレアガーデン

アクロスプラザカトレアガーデン宇都宮南は、隣接する福田屋百貨店の旗艦店「FKDインターパーク」「IPSビレッジ」「IPSスタジアム」とともに高い集客力を誇る専門店を有していたが、2024年3月31日には「ブックオフ・ホビーオフ宇都宮インターパーク店」が閉店。4月14日には100円ショップ「ダイソー」が閉店、4月21日にはリユースショップ「ハードオフ・オフハウス宇都宮インターパーク店」、5月7日には大型玩具・子供用品店「トイザらス・ベビーザらス宇都宮店」、5月10日には衣料スーパー「サンキ宇都宮店」が閉店を予定するなど、専門店の撤退が顕著となっていた。
一部専門店では閉店の理由として「契約期間満了」を挙げており、商業施設全体のリニューアルもしくは閉鎖の可能性も考えられる。

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バロー大和ストアー、2024年4月6日開店-大和リバーサイドタウンRioの食品核を承継、ブランド・実績活かし全面刷新

岐阜県郡上市大和町の長良川鉄道徳永駅近くにある地場系商業施設「大和リバーサイドタウンPio」に、バローの大型食品スーパー「スーパーマーケットバロー大和ストアー」が2024年4月6日に開店する。

地域密着路線掲げる旧郡上郡大和町最大の商業施設

大和リバーサイドタウンPioは2000年11月に開業。建物は平屋建(一部地上2階建)で敷地面積は約7,333㎡、延床面積は約3,331㎡。地元出資による「郡上商業開発」が運営を担う。
同施設は「郡上地域最大級のショッピングセンター」を掲げ、旧大和町に本店を置いていた地場食品スーパー「大和ストアーPio店」を核に地元個人経営店が多数入居している。2020年3月の全面リニューアル時には施設運営会社による直営飲食店「yamato cafe」の開店と「ベーカリーひろーず」の事業承継を行うなど、競合との差別化に向けた独自の試みを打ち出している。

大和ストアーとバローの強み活かした新店舗に

スーパーマーケットバロー大和ストアーの店舗面積は1,319㎡。
バロー大和ストアーは2024年3月26日をもって閉店した「旧大和ストアーPio店」をバローが引継ぎ「新大和ストアー」として新装開店するもの。
バローは「今までお客様に支持を頂いておりました「当店自慢の鮮魚」「飛騨高山からの産地直送野菜・果物」「地域の皆様に愛されてきた地元商品」を大切に引継ぐ」としており、旧店舗のブランド・実績とバローの調達・製造・加工機能という両社の強みを活かした店舗として生まれ変わることとなった。

スーパーマーケットバロー大和ストアー。

大和リバーサイドタウンRio隣接地には以前よりバローグループの「ホームセンターバロー大和店」が営業しており、両業態間の連携による集客力の向上も期待される。

スーパーマーケットバロー大和ストアー

住所:岐阜県郡上市大和町德永268
営業時間:午前9時30分~午後7時

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ムラサキパークららぽーとEXPOCITY、2024年4月6日開業-ムラサキスポーツ西日本旗艦店、屋内スケートパークに西矢椛選手も

大阪府吹田市の万博記念公園近くにある三井不動産系複合商業施設「三井ショッピングパークららぽーとEXPOCITY」の体験型英語教育施設「OSAKA ENGLISH VILLAGE」跡にムラサキスポーツの西日本旗艦店「ムラサキパークららぽーとEXPOCITY」が2024年4月6日に開業する。

ムラサキパークららぽーとEXPOCITY。

ムラスポの複合施設、西日本に復活

ムラサキパークは、大手アクションスポーツ用品店「ムラサキスポーツ」が「体験・遊ぶ・楽しむ・繋がる」を掲げ展開する同社大型店と各種スポーツフィールドの複合施設。
ムラサキパークは2024年1月の大阪岸和田閉館以来約3ヶ月ぶりの西日本復活となり、立川立飛とららぽーとEXPOCITYの東西2施設体制となる。

ムラサキパークの物販フロア。

目玉は国内最大級のスケートパーク

ムラサキパークららぽーとEXPOCITYの売場面積は200坪。
同施設は「ムラサキスポーツが総力をあげて新たにプロデュースした店舗」として、物販フロアに加えて、同社初となる未就学児から利用可能な「KIDSアスレチック&トランポリンエリア」やサーフスケートボード専用ランドスケートバンク「EXPOバンク」、初心者でも安心してスケートボードの練習ができる「多目的フラットエリア」といった国内最大級のスケートパークを展開。

ららぽーと内という立地特性を活かしたキッズ向けゾーン。

ムラサキパークに隣接する「クリスピークリームドーナツ」では同社とのコラボとして、スケートボードを観戦可能な店舗構造とするなど新たなコンセプトを訴求する。

クリスピークリームドーナツはスケボーを観戦可能な構造に。
関西初のオリグレワッフルコーンの展開も。

また、オープニングイベントでは、日本最年少五輪金メダリストの西矢椛選手を始めとするTOPスケーターによるデモンストレーションを開催するなど、体験から購買まで、コトもモノも楽しめる施設をめざす。

日本最年少五輪金メダリストとして知られる西矢椛選手。
国内最大規模となる屋内型スケートパークに期待をよせた。

開業にあわせて三井不動産との協賛パートナー契約も

ムラサキスポーツは開業にあわせて、ららぽーとEXPOCITYを管理運営する三井不動産グループと協賛パートナー契約を締結。
ムラサキパークでのイベント開催にとどまらず、三井不動産が運営する全国の「三井ショッピングパークららぽーと」や「三井アウトレットパーク」の施設を活かしたイベントを開催するとしている。

国内最大級のスケートパークを活かしたイベントも。

ムラサキパークららぽーとEXPOCITY

住所:大阪府吹田市千里万博公園2-1 ららぽーとEXPOCITY
営業時間:午前10時~午後8時(平日)
営業時間:午前10時~午後9時(土日祝)
※パーク・キッズエリアは異なる

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神戸物産、UR都市機構系日本総合住生活と業務提携-1号店「業務スーパー貝取団地店」2024年4月4日開店、団地活性化の起爆剤に

都市再生機構(UR都市機構)系住宅管理会社「日本総合住生活」(本社:東京都千代田区)が、業務スーパーを展開する「神戸物産」(本社:兵庫県加古川市)とフランチャイズ契約を締結し、東京都多摩市の多摩ニュータウンに食品ディスカウントストア「業務スーパー貝取団地店」を2024年4月4日に開店した。

日本総合住生活・全日食系スーパー跡、業務スーパーに

業務スーパー貝取団地店は、2024年1月14日に閉店したUR都市機構系住宅管理会社「日本総合住生活」直営食品スーパー「J Smile FOODS MARKET多摩ニュータウン貝取団地店」跡に開店するもので、前身店舗から引続き日本総合住生活が運営を担う。
日本総合住生活は新規事業の一環として、2020年3月に「全日食スーパー貝取団地店」を引継いで以来、全日食から商品供給を受けるかたちで食品スーパーの営業を続けてきたが、今回の貝取団地店開店にあわせて神戸物産とフランチャイズ契約を締結。貝取団地店を食品ディスカウントとして新装することとなった。

業務スーパー貝取団地店。

日本総合住生活は神戸物産との連携を「UR賃貸住宅等にお住まいの方の利便性向上及びコミュニティの活性化につながる事業の一つ」であると位置づけており、神戸物産の「エブリデイロープライス(EDLP/毎日がお買い得)」型店舗として、地域密着型のスーパーマーケットをめざすとしている。

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ドン・キホーテ太田店、2024年3月31日閉店-旧ユニーベルタウン、跡地は桐生大学を核に再開発

群馬県太田市の東武鉄道太田駅前にあるパン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH)系ディスカウントストア「ドン・キホーテ太田店」が2024年3月31日をもって閉店した。

ユニー核の複合商業施設として開業

ドン・キホーテ太田店の前身となる複合商業施設「ベルタウン」は1977年10月に開業。建物は地上7階建で地元企業「大同」が所有する。
ベルタウンは開業以来長らく、大手総合スーパー「ユニー太田店」を核とする市内随一の大型店であったが、2007年1月に核店舗のユニーが撤退したため、同年7月に中堅不動産会社による運営支援のもと「太田ジェイプラザ」として新装開業した。
新装開業後の太田ジェイプラザはディスカウントストア「ドン・キホーテ」と地場食品スーパー「駅前横丁」を核とする施設として集客向上を図ったが、運営会社の経営悪化にともないドン・キホーテグループに運営移行。ドンキ系ならではの飲食・サービス系テナントを導入するなど若年層の取込みを図った。

太田駅前唯一の大型スーパー、老朽化が顕著だった

ドン・キホーテ太田店は2007年7月に開店。
開店以来、生鮮4品(青果・鮮魚・精肉・惣菜)を含めたフルラインの衣食住に加え、ベルタウン時代からの専門店フロアを展開。直営フロアでは複数回の営業時間変更を経たもの、一貫して深夜営業を続けるなど、太田駅前唯一の大型店として地域の生活に不可欠といえる存在となった。一方、太田駅周辺は大型店の相次ぐ撤退により求心力が低下しており、ドンキ太田店自身も建物の老朽化が顕著となっていた。

ドン・キホーテ太田店。(同社公式より)

ドンキ、再開発で太田駅前から撤退

太田市は駅前活性化を目的として、2023年4月に地場学校法人「桐丘学園」(本部:群馬県みどり市)と系列大学「桐生大学」の新キャンパス誘致に関する協定を締結。同年9月1日に都市計画を決定し、同年12月より関東建設工業HD(本社:群馬県太田市)による「太田駅南口第三地区第一種市街地再開発事業」を施行した。
再開発の一環として、ドン・キホーテ太田店跡地には2027年4月を目処に桐生大学の新キャンパスが開校する見込みであるが、ドンキは太田市郊外への移転準備を進めているため、太田駅前から大型スーパーが消滅することとなった。

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ドン・キホーテアピタ木曽川店、2024年3月31日閉店-APITAパワーのドンキ、わずか1年で

愛知県一宮市木曽川町のAPITAパワー木曽川店2階にあるパン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH)系ディスカウントストア「ドン・キホーテアピタ木曽川店」が2024年3月31日をもって閉店する。

アピタパワーの核となる“テナント”だった

ドン・キホーテアピタ木曽川店は2022年4月29日に開店。APITAパワー木曽川店の建物は地上4階建、ドンキの営業フロアは2階のみで売場面積は2,696㎡。
ドンキアピタ木曽川店は、2022年3月25日に新装開店したユニーの総合スーパー新業態「APITAパワー木曽川店」2階の核を担う“テナント”としての出店であり、ドンキとユニーの合弁として発足したUDリテールが運営を担っていた。
同店は「SNSに慣れ親しんだ環境で成長し、今後日本の消費を動かしていくと言われるZ世代」を意識した店舗として「SNS 融合」「ニューレトロ」をテーマに売場を展開。
全国初となるドンキPB家電特化型売場「ド家電(ドカデン)コーナー」や全国2番目となる「コスメドンキ」(約1,000㎡)を導入するなど、館内にあるユニー直営専門店(KURADENなど)や同社近隣店舗との差別化を図り客層拡大をめざすとしていた。

ドン・キホーテアピタ木曽川店コスメドンキ。(同社公式より)

ドンキ化難航、手探りのリニューアル

ユニーはPPIHグループ傘下入りを機に、ドンキのノウハウを活かした複合業態「MEGAドン・キホーテUNY」への転換と合弁会社「UDリテール」への運営移管を急速に進めたが、既存業態利用客の流出もあり、2023年6月の嬉野店転換後1年近く停滞状態にある。
同社は対策としてユニー既存業態のブランドを活かしつつ売場のドンキ化と専門化を図る「APITAパワー」「PIAGOパワー」への転換とユニー最盛期のブランド「ユーストア」「生活創庫」の新コンセプトによる復活を打ち出したが、これらの施策もまだまだ途上にある。
APITAパワー木曽川店は地域有数の大型店であり、ドンキの閉鎖後も同社グループによる新たな売場になるとみられるが、跡地活用に関しては2024年3月時点においては発表されていない。

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ザ・ガーデン自由が丘大宮大門店、2024年3月31日閉店-大宮中央デパート跡地「大宮門街」の食品核、わずか2年で

埼玉県さいたま市大宮区のJR大宮駅東口にある複合商業施設「大宮門街」の食品核、セブン&アイHD系の高級食品スーパー「ザ・ガーデン自由が丘大宮大門店」が2024年3月31日をもって閉店した。

大宮中央デパート跡地再開発で誕生した「門街」

大宮門街は2022年4月に官民協働の大規模再開発プロジェクト「大宮駅東口大門町2丁目中地区第一種市街地再開発事業」の一環として開業。建物は地上18階地下3階建で敷地面積は約8,558㎡、延床面積は約82,139㎡。
1~6階商業フロア「門街EAST」「門街WEST」には、イオン系ドラッグストア「ウエルシア」やコンビニ「ローソン」、高級焼肉店「叙々苑」といった大手グループ系飲食・物販店に加え、再開発以前からの地権者系店舗、クリニックモールなどが入居。高層オフィスフロア「大宮門街スクエア」には「全国生活協同組合連合会(全国生協連)」の本部が入居している。

ザ・ガーデン自由が丘はわずか2年で閉店に

ザ・ガーデン自由が丘大宮大門店は、2022年4月の大宮門街開業から2ヶ月後の同年6月にあわせて開店。
大宮大門店独自のショップコンセプトとして「食のセレクトショップ」を掲げ、明治屋産業の精肉店「肉処壱丁田」や東京世田谷に本社を置く水産店「吉川水産」、ザ・ガーデンと結び付きの強い惣菜店「ブッツデリカテッセン」を導入。
大宮門街1階の大部分を占める食品核として「高質食品スーパー」を展開していたが、わずか2年ほどで閉店することとなった。

ザ・ガーデン自由が丘大宮大門店。(大宮門街公式より)

後継店は徒歩圏内のそごう食品館や浦和のアトレに

ザ・ガーデン自由が丘大宮大門店閉店の背景として、徒歩圏内の元セブン&アイHD系百貨店「そごう大宮店(食品館エブリデイ)」や隣接する浦和区のJR浦和駅商業施設「アトレ浦和」に自社店舗があるなど差別化が困難であったことも原因であるとみられる。
大宮門街では専門店の撤退が相次いでおり、ザ・ガーデンに代わる新たな集客店舗の導入が期待される。

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ゆめマート熊本、西友の九州全店舗を2024年8月1日買収-旧岩田屋系「サニー」屋号は存続見込み、イズミ・旧ニコニコドー系運営に

大手流通グループ「イズミ」(本社:広島市東区)と同社熊本県内地域子会社「ゆめマート熊本」(本社:熊本市東区)は、同じく大手流通グループ「西友」(本社:東京都武蔵野市)の九州事業(西友・サニー69店舗)を吸収分割の方法により2024年8月1日を目処に承継する方針を2024年4月3日に発表した。

地場老舗百貨店系スーパーを母体とする九州の西友

サニーは1963年8月に福岡地場老舗百貨店「岩田屋」と大手総合商社「伊藤忠商事」の合弁による食品スーパー運営会社として設立。同年8月に熊本市に同社1号店「サニー水前寺店」を開店した。

サニー水前寺店。

サニーは地場食品商社系スーパー「スーパーヤマエ」との資本業務提携やマイカル九州系食品スーパー「サティ食品館」の譲受を始めとする積極的なM&Aで、岩田屋グループ屈指の優良子会社となったが、1990年代末の岩田屋債務超過を契機とした経営再建策の一環として、2001年8月に西友の子会社となった。

1974年6月に西友大分店として開店した大分パルコ。

サニーは西友による子会社化当初、福岡県内の西友小型食品スーパー(美野島店・茶山店)を譲受しつつ、各種販促(テレビCM・チラシ)やサービスを中心に独自路線を維持し、西友への出資比率拡大を図る米国系グローバル流通大手「ウォルマート」と一線を画す店舗づくりを進めたが、2008年7月の西友による吸収合併を機にEDLP型のウォルマート型店舗に順次転換することとなる。

西友那珂川店として開店したサニー那珂川中原店。

以後、西友は九州で既存店のリニューアルに特化した営業施策を打ち出していたが、2021年2月開店の「サニー福岡長浜店」(キテラタウン長浜/仮称:西友福岡港1丁目ショッピングセンター)を機に新規出店を再開。地元ブランドのスーパーとして生き残りを図っていた。

ニコニコドーを母体とする「ゆめマート」

ゆめマート熊本は2003年7月に「ゆうあいマート」として設立。
ゆうあいマートは、2002年4月に民事再生法を申請し事実上経営破綻した九州地場流通大手「ニコニコ堂」の熊本県内における中小型店舗の受け皿として発足した経緯もあり、2003年10月の創業当初は「ニコニコドー」ブランドでの店舗展開を行っていた。
同社は地場資本の総合スーパーとして生き残りを図ったが、イズミが旧ニコニコ堂の大型店(はません・サンピアン・あらお・鳥栖・大村)を承継したこと、経営基盤強化の必要性があったことなどを背景に2005年にイズミと資本業務提携を締結。一環として、2008年5月に社名を「ゆめマート」(店名は平仮名で「ゆめマート」)に変更した。
ゆめマートは2013年9月に店舗ブランドをイズミグループ共通仕様の「youmeマート」に変更。2015年6月にはイズミ系地場高級食品スーパー「ハローグリーンエブリー」(運営会社:西紅)、同年9月には同じくイズミ系地場食品スーパー「エース」(運営会社:広栄)を吸収合併し、2019年3月に現社名に変更するなど、2024年4月現在はイズミの熊本県内における中核的な食品スーパー事業会社となっている。

本社は従来通り熊本、「サニー」ブランドは存続の見込み

イズミは西友九州事業の吸収分割を2021年の第二次中期経営計画(2030年長期ビジョン)に基づく施策であるとしており、同社による「当社グループの店舗と承継対象事業に含まれる店舗は地理的に重複しておらず、相互補完しあえる関係」との認識のもと、西友の九州69店舗(九州事業売上高969億9700万円/営業総利益267億円/ともに2022年12月期)を系列化に収めることで、中四国・九州地域を軸とした300店舗体制の実現と営業収益1兆円、更に強固なドミナント形成を実現するとしている。
なお、ゆめマート熊本による西友九州事業の吸収後も、本社所在地や事業内容、資本金、決算期に変更はないとしている。
また、サニーのブランド名に関しても存続する見込みとなっている。

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イオン北海道、西友の北海道全店舗を2024年10月1日買収-170億円で、道内から西友消滅

大手流通グループ「イオン」(本社:千葉市美浜区)の北海道地域子会社「イオン北海道」(本社:北海道札幌市白石区)が、同じく大手流通グループ「西友」(本社:東京都武蔵野市)の北海道におけるGMS事業(総合スーパー事業)を吸収分割の方法により2024年10月1日を目処に承継する方針を2024年4月2日に発表した。

流通大手の西友、道内店舗網を札幌市内に集約していた

西友は1963年4月に西武鉄道・西武百貨店系の総合スーパー「西友ストアー」として発足。1973年10月に道内1号店「西友月寒店」を開店した。
同社は西武流通グループ(後のセゾングループ)の中核企業として、1975年8月には旭川市に百貨店業態「旭川西武」を開店するなど業容を拡大。1986年10月には滝川駅前再開発ビル(スマイルビル)の核として「西友滝川店」、1988年12月には岩見沢ポルタ(現であえ~る岩見沢)の核として「西友岩見沢店」を開店するなど、再開発事業への積極的な参画を打ち出した。
一方、同社はグループ関連会社を含めバブル期に過剰投資を進めたこともあり、2002年3月に米国系グローバル流通グループ「ウォルマート」と資本業務提携を締結(後に完全子会社化)。2009年3月までに札幌市外から全面撤退した。

西友旭ヶ丘店(札幌市中央区)。

西友は2021年3月の米国投資ファンド「コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)」と国内IT大手「楽天」連合傘下入りを機に、実店舗・オンラインの融合(OMO)と食品スーパー事業への集中を打ち出し、直営衣料品フロアの専門店転換を加速。2023年4月には西友厚別店にディスカウントストア「ドン・キホーテ」を導入するなど、既存店の積極的なリニューアルにより、残存する札幌市内9店舗を含めて、2024年までに全店舗を黒字化する方針を掲げていた。

異色の経歴を誇るイオン北海道

イオン北海道は1978年4月にニチイの北海道地域子会社「北海道ニチイ」として設立。1996年7月には親会社のグループ名にあわせ「マイカル北海道」に社名変更したが、親会社の経営悪化を背景に地場資本として独立する方針を発表。
2002年1月には一般公募による新ブランド「ポスフール」に社名変更したが、マイカルの支援企業となったイオンとの兼ね合いで、2003年11月にはイオンと資本業務提携を締結、2007年8月のイオン道内店舗承継にあわせて現在の社名となった。
以後、同社は2015年9月にダイエーの道内総合スーパー業態9店舗と百貨店業態「カテプリ」を承継、2020年3月には系列食品スーパー運営会社「マックスバリュ北海道」を吸収合併し、イオンの北海道における地域子会社としての色合いを濃くすることとなった。

イオン北海道の業態に刷新、西友は道内から消滅

イオン北海道は西友北海道事業の吸収分割を「中期経営計画(2021-2025)」に基づく施策であるとしており、同社が「優良店舗」と位置づける西友札幌市内9店舗(=道内全店舗/2022年12月期売上高261億1600万円)を170億円で取得することで、2025年度直営売上高合計3,800億円、食品売上高3,000億円の実現を果たすとしている。
なお、イオン北海道による西友北海道事業の承継にともない、道内から西友ブランドの店舗は消滅し「イオン北海道のマルチフォーマットの中で最も店舗価値を高められるフォーマット(イオン・ビッグ・まいばすけっとなど)とテナント構成」の店舗として生まれ変わることとなる。

イオン北海道による運営となる西友の道内全9店舗

イオン北海道への運営移行後の業態やブランド名は未定

  • 西友旭ヶ丘店
  • 西友元町北二十四条店
  • 西友平岸店
  • 西友清田店
  • 西友西町店
  • 西友手稲店
  • 西友宮の沢店
  • 西友厚別店
  • 西友福住店

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西友・サニー、九州から2024年8月に・北海道から10月に撤退-北海道の店舗はイオン・九州の店舗はイズミに売却

大手スーパー「西友」(本社:東京都武蔵野市(2023年に赤羽から移転))は、北海道の全店舗を2024年10月1日付で「イオン北海道」(本社:北海道札幌市白石区)に、九州の全店舗を2024年8月1日付で「ゆめマート熊本」(本社:熊本県熊本市東区)に売却する。

西友の店舗。

北海道の西友はイオン、九州のサニーはゆめマートに

西友が北海道で展開する店舗は総合スーパー・食品スーパー「西友」9店舗、九州で展開する店舗は総合スーパー・食品スーパー「西友」とかつて岩田屋グループだった食品スーパー「サニー」を合わせて69店舗。

サニーの店舗。

北海道の店舗は、2024年10月1日付でイオンの子会社「イオン北海道」に、九州の店舗は、2024年8月1日付でイズミの子会社「ゆめマート熊本」に売却される。
いずれも従業員の雇用は継続される見込み。屋号は、将来的には北海道の店舗は「イオンスタイル」「マックスバリュ」など、九州の店舗は「ゆめタウン」「ゆめマート」等に変更される可能性も高い。
なおイオン北海道は「マイカル北海道」を、ゆめマート熊本は「ニコニコ堂」を前身とする。

西友、展開エリアは南東北から関西までに

西友はすでに山口県などから撤退。展開エリアを徐々に狭めており、2024年10月以降、西友の展開エリアは東は宮城県・西は兵庫県までとなる。

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